“蜈蜙”の読み方と例文
読み方割合
むかで100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
對州つしまは大きな蜈蜙むかでが穴から出かけたやうでもあるし又やどかりが體を突出したやうでもあつて、山許りだから丁度毛だらけのやうに見える。
壱岐国勝本にて (旧字旧仮名) / 長塚節(著)
両眼りょうがん真黄色まっきいろな絵具の光る、巨大な蜈蜙むかでが、赤黒い雲の如くうずを巻いた真中に、俵藤太たわらとうだが、弓矢をはさんで身構えた暖簾のれんが、ただ、男、女と上へ割って、柳湯やなぎゆ、と白抜きのに懸替かけかわって
国貞えがく (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
白雪皚々がいがいたる谷に山に松火の光煌々こうこうと一列を作ってうごめいて見えたが、それもしばらくの眺めであって、蜈蜙むかで穴へ隠れるがよう、対山の蔭へ追々全く火の光の隠れた頃、永い冬の夜も明け初めた。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)