“蕩々”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
とうとう66.7%
とろとろ13.3%
たうたう6.7%
とけどけ6.7%
とろ/\6.7%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
蕩々とうとうとして洋の東西にき返って居る今世こんせのことなれば、あるいは欧米の文士間などより、前記先生の所説のごとき議論が、何時湧出ゆうしゅつしてくるかも知れぬ
竹乃里人 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
肝まで溶融とろけて、蕩々とろとろ膏切あぶらぎった身体な、——気の消えそうな薫のい、湿った暖い霞に、虚空はるかに揺上げられて、天の果に、蛇の目玉の黒金剛石くろダイヤのような真黒まっくろな星が見えた、と思うと、自然ひとりで
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
蕩々たうたうたる空、藹々あいあいたる土、洋々たる海。和風おのづからにして、麗光十方にく。日の天にあるかくのごとく、民の仰いでうるほふかくのごとく、悠久二千六百年、祝典の今日が來たのだ。
新頌 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
唯喰ツてゐると謂ツては、何んの意味も無ければ不思議も無いが、其が奈何いかにも樂しさうで、喰ツてゐる間、氣も心も蕩々とけどけしてゐるかと思はれた。
解剖室 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
好摩かうまが原の夏草の中を、驀地まつしぐらに走つた二條の鐵軌レールは、車の軋つた痕に激しく日光を反射して、それに疲れた眼が、逈か彼方に快い蔭をつくつた、白樺の木立の中に、蕩々とろ/\と融けて行きさうだ。
鳥影 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)