“萌初”の読み方と例文
読み方割合
もえそ100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
浅々と萌初もえそめた麦畠は、両側に連つて、奈何どんなに春待つ心の烈しさを思はせたらう。うしてながめ/\行く間にも、四人の眼に映る田舎ゐなかが四色で有つたのはをかしかつた。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
私はいそいそとして、物を仕掛けてはついと立って勝手口の木戸を出てながめました。見れば萌初もえそめた柳の色のような煙は青空に残りまして、囃立はやしたてる小供の声も遠く聞えるのでした。
旧主人 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
浅々と青く萌初もえそめた麦畠むぎばたけの側を通りますと、丁度その畠の土と同じ顔色の農夫ひゃくしょうくわを休めて、私共を仰山らしくながめるのでした。北国街道は小諸へ入る広い一筋道。其処そこまで来れば楽なものです。
旧主人 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)