“繽紛”の読み方と例文
読み方割合
ひんぷん100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
二人の悲しい宿命をさながら形に現わしたように、風なきに桜花が繽紛ひんぷんと散り、肩に懸かり裾に乱れ二人は落花に埋もれようとした。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
去れど心さす方のある身には如何ばかり苦しかるらん、今も尚ほ繽紛ひんぷんとして止まんともせず、せめては雪のはるゝを待ちて登山せん
雪中の日光より (旧字旧仮名) / 木下尚江(著)
湛然たんぜんとして音なき秋の水に臨むが如く、瑩朗えいろうたるおもてを過ぐる森羅しんらの影の、繽紛ひんぷんとして去るあとは、太古の色なきさかいをまのあたりに現わす。
薤露行 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)