“眼前”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
めのまえ26.7%
めさき24.7%
がんぜん24.7%
まのあたり9.6%
めのまへ8.9%
まえ1.4%
まなさき1.4%
まさか0.7%
めつき0.7%
めのさき0.7%
マノアタリ0.7%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
眼前めのまえには利ありとも不善によりて保ちたる利はついに保ちがたく、眼前には福を獲ずとも善心によりて生ずる福は終に大きなるものなり。
印度の古話 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
それは先年せんねん西海せいかいはて崩御ほうぎょあらせられた貴人きじん御霊みたまであったが、それを拝すると共に眼前めさきくらんで馬から落ちたのだと云う噂であった。
頼朝の最後 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
その姿すがたのちらりと眼前がんぜんおこつた時、またかと云ふ具合に、すぐり棄てゝ仕舞つた。同時に彼は自己の生活力の不足を劇しく感じた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
祝言さするは、これ眼前まのあたり。ただ、恨めしきは伊右衛門殿。喜兵衛一家の者ども、ナニ、安穏あんのんに置くべきや。思えば思えば、エエ恨めしい。
人魚謎お岩殺し (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
此のけむりほこりとで、新しい東京は年毎としごとすゝけて行く。そして人もにごる。つい眼前めのまへにも湯屋ゆや煤突えんとつがノロ/\と黄色い煙を噴出してゐた。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
眼前まえにドッカリ超弩級ちょうどきゅうに灯が入ったようにうずくまっているのが丸ビル……これといって手に職があるわけではなし、それに、たださえこの不況時代ふきょうじだいだから、長庵とお六、たちまち困って終う。
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
夕かげを月は光らず眼前まなさきや電線の張りをはなれつつあり
白南風 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
歌は身のなぐさみにすな何事も事の眼前まさかの真ごころを詠め
礼厳法師歌集 (新字旧仮名) / 与謝野礼厳(著)
時には出來あがツた繪を幻のやうに眼前めつきうかべて見て、ひとりでにツこりすることもあツた。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
眼前めのさきにまざまざと今日の事が浮んで来る、見下した旦那の顔が判然はっきり出て来る、そしてテレ隠しに炭を手玉に取った時のことを思うと顔から火が出るように感じた。
竹の木戸 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
眼前マノアタリ 今も神代ぞ。神なくば、艸木も生ひじ。人もうまれじ﹅
橘曙覧評伝 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)