“真正面”のいろいろな読み方と例文
旧字:眞正面
読み方割合
まとも60.3%
まっしょうめん19.2%
ましょうめん9.6%
まおもて2.7%
ましやうめん1.4%
ましようめん1.4%
まむき1.4%
まむこう1.4%
アン・プラン1.4%
マトモ1.4%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
そう真正面まともにいわれた川島は、又あわてて笑いを浮べたのだが、それは片頬がわずかに顫えただけの、我れながら卑屈なものであった。
植物人間 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
と、また途方もない声をして、階子段はしごだん一杯に、おおきなな男が、ふんどし真正面まっしょうめんあらわれる。続いて、足早にきざんで下りたのは、政治狂の黒い猿股さるまたです。
木の子説法 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
老ボーイは、姿勢を正し、眼を糸のように細くし、鼻の穴を真正面ましょうめんにこっちへ向けて小汽艇しょうきていの汽笛のような声でいった。
海底都市 (新字新仮名) / 海野十三(著)
金屏の映えて畏き真正面まおもてみやおはすらしあたりしづけき
黒檜 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
鼻筋はなすぢをしかめて、その真正面ましやうめんみゝてた。
銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
決勝点は美禰子とよし子がすはつてゐる真正面ましようめんで、しかもはなさきだから、二人ふたりを見詰めてゐた三四郎の視線のうちには是非共是等これら壮漢そうかんが這入つてる。五六人はやがて十二三人に殖えた。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
……私はそれから裏口の梔子くちなしの蔭にむしろを敷きまして、煙管きせるくわえながら先刻さいぜん蒸籠せいろつくろい残りをつづくっておりましたが、そこから梔子の枝越しに、離家の座敷の内部ようす真正面まむきに見えますので
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「彼岸の中日ちゅうにちになると真赤な夕日が斜坑の真正面まむこうに沈むぞい。南無なむ南無南無……」
斜坑 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
仮りに十一へ真正面アン・プランに百フラン抛り出して十一へ玉が落ちたとすれば百法の三十五倍と元金の百法と、つまり総計三千六百法——三百六十円——というものが転がり込む。
踊る地平線:09 Mrs.7 and Mr.23 (新字新仮名) / 谷譲次(著)
たゞ互の顔の見えるばかりの緊張した気持ちの間に、刻々に移つて行く風。西から真正面マトモに吹きおろしたのが、暫らくして北の方から落して来た。
死者の書 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)