“狭隘”のいろいろな読み方と例文
旧字:狹隘
読み方割合
きょうあい73.9%
けふあい7.2%
せま5.8%
せせこま4.3%
けち2.9%
きようあい1.4%
けいふあい1.4%
せばい1.4%
せまい1.4%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
それだけの理論さえ理解出来ずして、一端これを棄ててしまった文壇小説が益々狭隘きょうあいな途に踏み込んでしまったのは当然と思われる。
大衆文芸作法 (新字新仮名) / 直木三十五(著)
知らずや宇宙は卿曹の哲学に支配せらるゝが如き狭隘けふあいなる者に非ず、天地の情、乾坤けんこんの美は区々たる理論の包轄し得べき者に非るを。
詩人論 (新字旧仮名) / 山路愛山(著)
町が狭隘せまいせいか、犬まで大きく見える。町の屋根の上には、天幕がゆれていて、さくらかんざしを差したむすめ達がゾロゾロ歩いていた。
風琴と魚の町 (新字新仮名) / 林芙美子(著)
およそその釈迦堂はラサ府の図面にも記されてある通り、三階造りの大伽藍だいがらんですがほとんど詰切つめきれない位集まる。その時の狭隘せせこましい事というたらたまらんです。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
清吉そなたは腑甲斐無い、意地も察しも無い男、何故私には打明けて過般こなひだの夜の始末をば今まで話して呉れ無かつた、私に聞かして気の毒とおつに遠慮をしたものか、余りといへば狭隘けちな根性
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
この一条の水路は甚だ狭隘きようあいにしてかつ甚だ不潔なれども、不潔物その他の運搬には重要なる位置を占むること
水の東京 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
此人の幸福は無智な、狭隘けいふあいな人物の幸福であつた。此人は善良なるハアトを持つてゐた。併しその鼓動は余り高まることが無い。それに家族以外の事には感動しないハアトなのである。
板ばさみ (新字旧仮名) / オイゲン・チリコフ(著)
人様々の顔の相好すまい、おもいおもいの結髪風姿かみかたち聞覩ぶんとあつまる衣香襟影いこうきんえいは紛然雑然として千態万状ばんじょう、ナッカなか以て一々枚挙するにいとまあらずで、それにこの辺は道幅みちはば狭隘せばいので尚お一段と雑沓ざっとうする。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
あ、エウゲニイ、フェオドロイチの有仰おっしゃるには、本院ほんいん薬局やっきょく狭隘せまいので、これを別室べっしつの一つに移転うつしてはどうかとうのです。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)