“瀟洒”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
しょうしゃ78.3%
せうしや6.6%
さっぱり3.9%
さつぱり3.9%
あつさり2.0%
こざつぱり1.3%
あっさり0.7%
いなせ0.7%
こざっぱり0.7%
ざつぱり0.7%
しやうしや0.7%
シック0.7%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
そして、彼もまた、その日は瀟洒しょうしゃであった赤革靴のきびすをかえすと、やや低いスロープを作っている芝生のくぼみに、お光さんがいた。
かんかん虫は唄う (新字新仮名) / 吉川英治(著)
女の大学生がまげを包んだリボンと同じ色の長い薄手の外套を着て、瀟洒せうしやとした所に素直な気取きどりを見せたのは一寸ちよつと心憎い様に思はれる。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
大きなつくえを真中にして、お新も瀟洒さっぱりとした浴衣のままくつろいだ。山本が勧める巻煙草を、彼女は人差指と中指の間にはさんで、旅に来たらしく吸った。
(新字新仮名) / 島崎藤村(著)
そして此の陰氣いんきなじめ/\した室にも、何處となく、小意氣こいき瀟洒さつぱりした江戸的氣風が現はれてゐた。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
勿論一人一人を仔細しさいに観るならおの/\の身分や趣味がちがまゝに優劣はあらうが、概して瀟洒あつさり都雅みやびであることは国人の及ぶ所で無からう。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
丑松は文平の瀟洒こざつぱりとした風采なりふりを見て、別に其を羨む気にもならなかつた。たゞ気懸りなのは、あの新教員が自分と同じ地方から来たといふことである。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
世間は気次第で忌々いまいましくも面白くもなるものゆえ、できるだけは卑劣けちさびを根性に着けず瀟洒あっさりと世を奇麗に渡りさえすればそれで好いわ、と云いさしてぐいと仰飲あお
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
何事や起こりたると、見物は白糸のあとより、どろどろと乱れ出ずる喧擾ひしめきに、くだんの男は振り返りぬ。白糸ははじめてそのおもてを見るを得たり。渠は色白く瀟洒いなせなりき。
義血侠血 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
でも、お粂はお粂らしく、瀟洒こざっぱりとした感じを失ってはいなかった。
夜明け前:04 第二部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
圭一郎は郷里の家の大きな茅葺かやぶき屋根の、爐間の三十疊もあるやうなだゝつ廣い百姓家を病的に嫌つて、それを二束三文に賣り拂ひ、近代的のこ瀟洒ざつぱりした家に建て替へようと強請せがんで
崖の下 (旧字旧仮名) / 嘉村礒多(著)
往来を通る人の影のチラチラ透いて見えるのもなつかしい。内から見ても好く、外から見ても好い。四つ目垣は瀟洒しやうしやだ。春は山吹、秋は萩などがそれに伴つて好い。
中秋の頃 (新字旧仮名) / 田山花袋田山録弥(著)
人に与うる私の全体の印象が沈欝であって——質素じみくすんで言葉が流暢りゅうちょうでなく……つまり一口に言って瀟洒シックとか典雅とか俊敏スマートとか、あるいは軽快とか洒脱ユーモラスといったようなパッとした社交的の洗錬さを
陰獣トリステサ (新字新仮名) / 橘外男(著)