“漸”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
ようや59.7%
やうや17.7%
やっ5.3%
やつ4.5%
4.0%
ようよ2.8%
よう1.5%
やうやく0.8%
ぜん0.8%
やう0.5%
ようやく0.5%
やっと0.4%
やつと0.3%
やや0.3%
0.3%
すす0.1%
すすむ0.1%
とん0.1%
やうやう0.1%
やッ0.1%
よわ0.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
私は、その青春時代を顧みると、ちょうど日本に、西欧のロマンチシズムの流れが、その頃、ようやく入って来たのでないかと思われる。
婦人の過去と将来の予期 (新字新仮名) / 小川未明(著)
わたくしやうやくほつとしたこころもちになつて、卷煙草まきたばこをつけながら、はじめものうまぶたをあげて、まへせきこしおろしてゐた小娘こむすめかほを一べつした。
蜜柑 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
お鈴と二人でやっなだめて、房吉から引離して、蚊帳かやのなかへ納められた隠居がしずまってからも、お島はじっとしてもいられなかった。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
親爺おやぢは幾度か叱り飛ばしてやつと芋畑に連れ出しはしたが、成斎はいたちのやうにいつの間にか畑から滑り出して、自分のうちに帰つてゐた。
内の女は暫く身じろぎもしないでいたが、っとためらいがちに低く返事をした時、男ははじめてそれが誰であったかに気がついた。
姨捨 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
若「もけません、ようよう此処まで我慢して歩いて来ましたので、わたくし此様こんなに歩いた事はないものですから、う何うしてもけません」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
攻めなじってようよう訊いた事の仔細。それから山科の御坊に駈けつけて、お上人さまにお訴え申し、お上人さまともども急いで駈けつけたが
取返し物語 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
私方養介も二年煩ひ、去年やうやく起立、豊後へ入湯道中にて落馬、やうやく生て還候。かくては志も不遂とげず、医になると申候。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
〔譯〕ぜんは必ず事をし、けいは必ず人をづく。歴代れきだい姦雄かんゆうの如き、其ぬすむ者有り、一時亦能く志をぐ。畏る可きの至りなり。
ながめやればはるか向ふに燈火ともしびの光のちら/\と見えしに吉兵衞やうやくいきたる心地こゝちし是ぞまがひなき人家ならんと又も彼火かのひひかり目當めあてゆき
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
そこから土のにおいや枯草の匂や水の匂がひややかに流れこんで来なかったなら、ようやく咳きやんだ私は、この見知らない小娘を頭ごなしに叱りつけてでも
蜜柑 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
こっちへ追われ逃げ場をなくして松の木へ飛び付きやっと呼吸いきを吐いたなんて、へ、それでも稼人かせぎにんけえ? 鼠小僧もたがが弛んだな。
善悪両面鼠小僧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
かれやつとのことで戸口とぐちつた。勘次かんじばうとしてたらうちはひつそりとくらい。戸口とぐちてゝたらかぎかけてあつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
豊雄一七八やや此の事をさとり、涙を流して、おのれ一七九更に盗をなさず。かうかうの事にて、あがた何某なにがしが、さきつまびたるなりとて得させしなり。
が、そんなことをしてうやっと歩いている僕たちは、泥濘のなかをも平気で歩いてゆくその牝山羊をつれた女にもずんずん引き離されてしまった。
大和路・信濃路 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
即ち西洋文明の根原をなし、東にすすんだのは亜細亜アジア文明、即ち東洋文明の種子であった。
日本の文明 (新字新仮名) / 大隈重信(著)
それから私の兄が久松家の用人をやめて自分の家に戻って後、そこには藤野古白こはくの老父君であった藤野すすむ翁が久松家の用人として住まっていた。
漱石氏と私 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
引出したりといろあをざめて我家へ歸來り女房のお富に向ひ突然いきなりと證據人にたてくれと道十郎の後家のお光に言れ何と云まぎらしてもとんと聞入れず漸々やう/\にげ歸りては來れ共お光が駈込かけこみ願ひにても及ぶ時は必ず我が名を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
源平盛衰記げんぺいせいすゐき文覚発心もんがくほつしんくだりに、「はやきたつて女と共にし居たり、狭夜さよやうやう更け行きて云云うんぬん」と、ちやんと書いてある事である。
澄江堂雑記 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
理窟はさて置いて、この面舐かおなめの一儀が済むと、ポチもやッと是で気が済んだという形で、また庭先をうろうろし出して、椽の下なぞを覗いて見る。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
一〇〇眠蔵めんざうより一〇一痩槁やせがれたる僧の一〇二よわ々とあゆみ出で、からびたる声して、御僧は何地いづちへ通るとてここに来るや。