“某”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
なにがし47.8%
それがし24.5%
ぼう9.5%
ある8.3%
それ6.0%
さる0.5%
たれがし0.5%
ばう0.5%
それが0.3%
かれ0.3%
0.3%
それかし0.3%
それの0.3%
たれ0.3%
たれそれ0.3%
なにそれ0.3%
やつがれ0.3%
将作0.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
この寺の墓所はかしょに、京の友禅とか、江戸の俳優なにがしとか、墓があるよし、人伝ひとづてに聞いたので、それを捜すともなしに、卵塔らんとうの中へ入った。
瓜の涙 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
それがし年来桑門そうもん同様の渡世致しおり候えども、根性こんじょうは元の武士なれば、死後の名聞みょうもんの儀もっとも大切に存じ、この遺書相認あいしたため置き候事に候。
そして声音こわねで明らかに一人は大津定二郎一人は友人ぼう、一人は黒田の番頭ということが解る。富岡老人も細川繁も思わず聞耳を立てた。
富岡先生 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
それは康熙年間のある夏の午後のことである。涼亭には蒲留仙ほりゅうせんが腰をかけて、長い煙管キセルをくわえながらうっとりとして何か考えている。
あめのつれ/″\に、ほとけをしへてのたまはく、むかしそれくに一婦いつぷありてぢよめり。をんなあたか弱竹なよたけごとくにして、うまれしむすめたまごとし。
妙齢 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
名乗りませいではならぬ筈でござりまするが、しばらくおゆるし下さりませ。わたくしは都に屋敷を構えておりまするさる武家の娘、少しくお願いの儀がござりまして……。
小坂部姫 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
「それにしても殿様、堤の上から、船の中の人の眼玉を射るのは容易の腕前ではございません。何のたれがしと言う楊弓の名人でもなければ——」
其の洋服代も美奈子がばう新聞社へ売つた小説の稿料の中から支払つたので妻がの目も眠らずに働いた労力の報酬の片端である。又一枚しか無い保雄の大島の羽織がつまみ出された。
執達吏 (新字旧仮名) / 与謝野寛(著)
たゞす役目なり奉行ぶぎやうには依怙贔屓えこひいきありてそれがしばかり片落かたおとしに爲給したまふならんと言せもはて大岡殿おほをかどの發打はつた白眼にらま依怙贔屓えこひいきとは慮外りよぐわい千萬なり此梅を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
第二番に何屋のかれ綺羅きらを尽くした伊達だて姿が、眼の前を次から次に横切っても、人々は唯、無言のまま押合うばかり。眼の前の美くしさを見向きもせず。
名娼満月 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
うたがひはかる柳闇花明りうあんくわめいさとゆふべ、うかるヽきのりやとれど品行方正ひんかうはうせい受合人うけあいてをうければことはいよいよ闇黒くらやみになりぬ、さりながらあやしきは退院たいヽんがけに何時いつ立寄たちよれのいゑ
経つくゑ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
けんじていはく、それかし飛行自在ひぎやうじざいじゆつの候、瞬時またゝくまにして
鬼桃太郎 (旧字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
深山みやまにかくれてきている事を信ぜられています——雪中行軍に擬して、中の河内かわちを柳ヶ瀬へ抜けようとした冒険に、教授が二人、それの中学生が十五人、無慙むざんにも凍死をしたのでした。
雪霊続記 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
たれさんは、昨夜ゆうべ、狸に化されて家へよう帰らずに、ある所をぐるぐると歩いていた」
村の怪談 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
またわれわれが『論語』や『聖書』を読み万世不朽ふきゅうの金言と称せらるる教訓にれても、うまいことをいっている、このおしえたれそれに聞かしてやりたいものだと、おのれの身にあてはめて考えるよりは
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
「論より証拠ぢやありませんか、ここにちやんと刷りこんでありまさあね、⦅役僧なにそれこれを物語る⦆と。」
「はてね、少しあぶないもので。やつがれが勝つでござりましょうよ」
生死卍巴 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
其頃其同志にてありし楢崎将作と申医師、夫も近頃病死なりけるに、其妻とむすめ三人、男子二人、其男子太郎ハすこしさしきれなり。