“末年”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
ばつねん60.0%
まつねん40.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
最後に僕の知つてゐる頃には年とつた猫背ねこぜの測量技師だつた。「大溝おほどぶ」は今日こんにち本所ほんじよにはない。叔父もまた大正の末年ばつねん食道癌しよくだうがんを病んで死んでしまつた。
本所両国 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
共立学舎は尺振八せきしんぱちの経営する所である。振八、はじめの名を仁寿じんじゅという。下総国高岡の城主井上いのうえ筑後守正滝まさたきの家来鈴木伯寿はくじゅの子である。天保十年に江戸佐久間町に生れ、安政の末年ばつねんに尺氏を冒した。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
安政あんせい末年まつねん、一人の若武士わかざむらいが品川から高輪たかなわ海端うみばたを通る。夜はつ過ぎ、ほかに人通りは無い。しば田町たまちの方から人魂ひとだまのやうな火がちゅうまようて来る。
雨夜の怪談 (新字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
サア・オルコツクは、徳川幕府とくがはばくふ末年まつねんに日本に駐剳ちうさつした、イギリスの特命全権公使である。その日本駐剳中には、井伊大老ゐいたいらう桜田門外さくらだもんぐわい刺客せきかくの手にたふれてゐる。
日本の女 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)