“曠野”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
こうや60.8%
あらの23.2%
ひろの5.6%
あれの4.0%
くわうや2.4%
あらぬ1.6%
ステッピ0.8%
アラノ0.8%
ステップ0.8%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
実にこの二つの者は、芸術の曠野こうやを分界する二の範疇はんちゅうで、両者は互に対陣し、各々の旗号を立て、各々の武器をもって向き合ってる。
詩の原理 (新字新仮名) / 萩原朔太郎(著)
そらを仰ぎ、地をたたきて哭悲なきかなしみ、九三ともにもと物狂はしきを、さまざまといひなぐさめて、かくてはとてつひ九四曠野あらのけぶりとなしはてぬ。
一行はアルバノの山をえたり。カムパニアの曠野ひろのは我前によこたはれり。道の傍なる、蔦蘿つたかづら深くとざせるアスカニウスのつかは先づ我眼に映ぜり。
その行燈の枕許まくらもとに、有ろう? 朱羅宇しゅらお長煙管ながぎせるが、蛇になって動きそうに、蓬々おどろおどろと、曠野あれの徜徉さまよう夜の気勢けはい。地蔵堂に釣った紙帳より、かえってわびしき草のねやかな。
吉原新話 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
當時たうじ寫眞しやしんた——みやこは、たゞどろかはらをかとなつて、なきがらのごとやまあるのみ。谿川たにがはながれは、おほむかでのたゞれたやうに……寫眞しやしんあかにごる……砂煙すなけむり曠野くわうやつてた。
城崎を憶ふ (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
鴨の群れはまだ土地ところの沼地に群れてゐたが、鷦鷯みそさざいはもう影も見せなかつた。曠野ステッピは一面に赤くなつた。そこここに穀類の禾堆いなむらが、ちやうど哥薩克の帽子のやうに野づらに点々と連なつてゐた。
大和の内も、都に遠い広瀬・葛城カツラギあたりには、人居などは、ほんの忘れ残りのやうに、山陰などにあるだけで、あとは曠野アラノ。それに——、本村ホンムラを遠く離れた、時はづれの、人まぬ田居タヰばかりである。
死者の書 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
まるで曠野ステップを歩くような氣持でうろつき𢌞っている男なんです。