“所狭”のいろいろな読み方と例文
旧字:所狹
読み方割合
ところせ50.0%
ところせま50.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
火近うなりて物の焼くる音おそろしきに、大路も人多くなりて所狭ところせく、ようせずばあやまちもありぬべし、疾く逃ぐるこそよかなれと人々云ふ。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
文三はホッと吐息をついて、顧みて我家わがいえの中庭を瞰下みおろせば、所狭ところせきまで植駢うえならべた艸花くさばな立樹たちきなぞが、わびし気にく虫の音を包んで、黯黒くらやみうちからヌッと半身を捉出ぬきだして
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
道を転じて静緒は雲帯橋うんたいきようの在るかたへ導けり。橋に出づれば正面の書院を望むべく、はや所狭ところせまきまで盃盤はいばんつらねたるも見えて、夫は席に着きゐたり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
になえるかごは覆りて、紙屑、襤褸切ぼろきれ硝子がらす砕片かけなど所狭ところせまく散乱して、すねは地をり、手はくうつかみて、呻吟しんぎんせり。
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)