“怖”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
おそ33.8%
こわ29.4%
こは9.1%
7.7%
おそろ5.5%
2.4%
おっ2.0%
おび1.6%
おっか1.0%
おそれ0.9%
おじ0.8%
0.8%
こお0.7%
こえ0.5%
おぢ0.5%
コハ0.4%
おそる0.3%
おぞ0.3%
おつ0.2%
おつか0.2%
おど0.2%
0.2%
おと0.1%
こオは0.1%
こを0.1%
0.1%
おそろし0.1%
おっかな0.1%
おっかね0.1%
おっそ0.1%
おっそろ0.1%
おづ0.1%
おどろ0.1%
こはが0.1%
こわが0.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
早鐘をくような動悸どうきだった、おちつこうとしても、跡をけられてはいないかというおそれで、ついのめるような足早になっていた。
金五十両 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
そんなつもりでもないけれど、わたしも実は本道がこわいからね。七兵衛のような気味の悪い男にけられたり、人を見ては敵呼かたきよばわりを
大菩薩峠:08 白根山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
こはいぢやありませんか、親分さん。お孃さんは此處から突き落されたんですね、這ひ上がるところを、上から石を落されちや——」
彼女のものじしない近代女性振りも、すべて職業上の促しによるものだ。なんのことはない、訪問慣れというやつだ。それをなんだ。
メフィスト (新字新仮名) / 小山清(著)
その陶器やきものが自分の所有になった気がしないといったあの猶太ユダヤ人の蒐集家サムエルと同じものを新吉は自分に発見しておそろしくなった。
巴里祭 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
……おおわ! あんな別嬪さんを、まあおしいこと……そういえば思い当る事があります。誰にも仰言おっしゃっては困りますがね。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
人を擲殺たゝッころして内済ねえせいで済みますかえ、そりゃア済ます人もあるか知れませんが、わっちアいやだ、おっかねえ事を仰しゃるねえ、おふくろさん
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
職員室には、十人ばかりの男女をとこをんな——何れもきたな扮装みなりをした百姓達が、物におびえた様にキヨロ/\してゐる尋常科の新入生を、一人づゝ伴れて来てゐた。
足跡 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
伊賀の暴れん坊こと、柳生源やぎゅうげんろうは、江戸から百十三里、剣術大名柳生対馬守やぎゅうつしまのかみの弟で、こいつがたいへんにうでのたつおっかない若侍。
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
散々に破壊され、狼藉され、蹂躙されし富山は、余りにこの文明的ならざる遊戯におそれをなして、ひそかあるじの居間に逃帰れるなりけり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
助役は、急にサッと顔色を変えると、物におじけた様に眼を引きつけて、ガクガク顫えながら暫く口も利けなかった。が、やがて
気狂い機関車 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
わその子を抱いて来ると、すぐに自分が受け取りながら、「おお、これは可愛い子だ。泣くな。泣くな。今日きょうからおれが養ってやるわ。」
捨児 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
君香は、「この街が、なんや、こおうなった」といい、あどけない無心の百合香に頬ずりしながら、ぽろぽろと涙を流した。そして
花と龍 (新字新仮名) / 火野葦平(著)
何うなったのうなったのと、実になんともとも云いようのねえこええことだが、これを手前てめえとおれと見たばかりじゃア掛合かゝりえいにでもなっちゃア大変てえへんだから
さらその何處どこにもかんじない微風びふう動搖どうえうして自分じぶんのみがおぢたやうにさわいでる。なにさわぐのかといぶかるやうにすこ俯目ふしめおろしてる。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
サウシテ私ヲオ父様ノ所ヘ返サナイト『アグニ』ノ神ガオ婆サンノ命ヲトルト言ツテヤリマス。オ婆サンハ何ヨリモ『アグニ』ノ神ガコハイノデスカラ、ソレヲ聞ケバキツト私ヲ返スダラウト思ヒマス。
アグニの神 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
婦人のなかには湯具ゆぐばかりなるもあれど、闇処くらきところ噪雑わやくやして一人もみだりがましき事をせず、これおの/\毘沙門天びしやもんでん神罰しんばつおそるるゆゑなり。
それは、おどろおぞましい色であり、もやであって、その物凄まじいおののきには、自分の心臓すらも、観客は見出せないほどであった。
人魚謎お岩殺し (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
これは名前だけはおつかない敵役のやうですが、ヒヨロヒヨロとした青白い四十男で、劍術よりは下駄の鼻緒はなをを直したり、障子を張つたり月代さかやきを當つたりすることのうまい人間です。
何時いつの間にか身體の通るだけ開くと、田舍の子供といふものは因循なもので、盜みでもする樣におつかびつくり、二寸三寸と物も言はず中に入つて行つて、交代かはりがはりに其姿見を覗く。
天鵞絨 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
おどすのは罪だと思って、自分もしばらく、手摺に倚ったまま、指一本も動かさずに辛抱していたが、存外鳥の方は平気なようなので、やがて思い切って、そっと身をうしろへ引いた。
永日小品 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
過去がすでにである、未来もまた怖なるべしとの予期は、自然とおのれを放射して次に出現すべきいかなる出来事をもこの怖に関連して解釈しようと試みるのは当然の事と云わねばならぬ。
趣味の遺伝 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
何か云はるツとんおとろしかつだろばツてん、今更、なんも、そぎやんびくびくするこたあなかぢやなツか。
牛山ホテル(五場) (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
なにがそんなにこをござる。
真下に視下みおろす議場では、居睡いねむりをしている人や、肩をからせてつかみあっている人たちがいた。それが議員と云う人たちなそうで、もう吃驚びつくりしてしまって、それきりな気持ちになってしまっている。
生活 (新字新仮名) / 林芙美子(著)
そのおそろしさいはんかたなし。かの死骸しがいかしらかひな断離ちぎれたるは、なだれにうたれて磨断すりきられたる也。
「六万五千の劇通が批評眼といふおっかないものをみはつたところで、娘の子が羽子板屋の店へ立つて気迷きまよいする位なものなるべし」
両座の「山門」評 (新字旧仮名) / 三木竹二(著)
中々おさむらえさんの娘だけにおっかねえように、凛々りゝしい人だよ
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「こんな、おっそろしい毛虫、私は、おっかなくって、とても取られせん。服をお脱ぎなせえ。」
熊の出る開墾地 (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
おっそろしく散らかしたもんだな。——して、その危篤の女はどこにかくしてあるんだね?」
黒猫十三 (新字新仮名) / 大倉燁子(著)
おづおづと吹きいづる………たま石鹸しやぼんよ。
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
おし開き立出たるは別人成ず彼の番頭ばんとうの久八なれば千太郎は大いにおどろかき置手早くうしろへかく素知そしらぬふりして居る側へ久八はひざ摺寄すりよせ是申し若旦那わかだんな暫時しばらくまち下さるべし如何にも御無念は御道理然共こゝせく時ならずさきより私し失禮しつれいながら主人の御容子ようす唯事たゞごとならずと心配しんぱいなしてふすまの彼方に殘らず始終しじう
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
ヂュリ いなうとや? はまだきゃせぬのに。こはがってござるおまへみゝきこえたは雲雀ひばりではなうてナイチンゲールであったもの。夜毎よごと彼處あそこ柘榴じゃくろて、あのやうにさへずりをる。
また伊兵衞という番頭は若草の叔母を突出つきだしたので、一層心のうちこわがって居りますると、二階から毛が落ちて来たから手に取上げて見ると、ねば/\と血が附いて居たなどというは