“幾許”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
いくばく54.2%
いくら31.8%
いくつ3.7%
なにがし1.9%
いかばかり0.9%
ここだ0.9%
いかばか0.9%
いくそ0.9%
いくそばく0.9%
いくらか0.9%
ここだく0.9%
ここら0.9%
こゝだく0.9%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
こんな塩梅に実地に修行して行くと六、七年の後には、世間の経験に習熟した禅坊主さんの幾許いくばくかが毎年社会に出て行くことになる。
僧堂教育論 (新字新仮名) / 鈴木大拙(著)
取出し夫見よ酒も肴も幾許いくらでも出せ喰倒しをするやうな卑劣ひれつの武士と思ふかこゝ盲目めくらめと云ながら百兩餘りもあらんと思はるゝ胴卷どうまき
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
見たが、何うもいゝ器量だこと、年は幾許いくつ、なに十九だとえ、オヤそう、焼け出されてそれで、それはマアお気の毒な、旦那これは何処の娘です
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
食事が済むと、彼は幾許なにがしかの勘定を払って戸外そとへ出た。そして安い旅館ホテルをさがす為に、場末の町へボツ/\と歩をむけた。
緑衣の女 (新字新仮名) / 松本泰(著)
母子の為には幾許いかばかりさいはひなりけん。彼は貫一に就いて半点の疑ひをもれず、唯くまでもいとしき宮に心をのこして行けり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
幾許ここだ」という副詞も注意すべきもので、集中、「神柄かむから幾許ここだ尊き」(巻二・二二〇)「妹がに雪かも降ると見るまでに幾許ここだもまがふ梅の花かも」(巻五・八四四)
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
附添さへあるまらうどの身にして、いやしきものにあつかはるる手代風情ふぜいと、しかもその邸内やしきうちこみちに相見て、万一不慮の事などあらば、我等夫婦はそも幾許いかばかり恥辱を受くるならん。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
答ふるにおよびて我曰ひけるは、あはれ幾許いくその樂しき思ひ、いかにせちなる願ひによりてかれらこの憂ひの路にみちびかれけん 一一二—一一四
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
今は昔、紀ノ国日高郡に道成寺と名づくる山寺ありしと伝うれど、およそ幾許いくそばくの年日をへだつるのころなるや知らず、情景はそのほとり不知の周域にもとむ。
道成寺(一幕劇) (新字新仮名) / 郡虎彦(著)
彼は幾許いくらかの金をやってコルトンを外国へ追遣おいやり、エリスを救う所存であった。
P丘の殺人事件 (新字新仮名) / 松本泰(著)
「朝顔は朝露おひて咲くといへど夕影にこそ咲きまさりけれ」(巻十・二一〇四)、「夕影に来鳴くひぐらし幾許ここだくも日毎に聞けど飽かぬ声かも」(同・二一五七)などの例がある。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
板倉と撫川なずかわさとの、中を行く芳野の川の、川岸に幾許ここら所開さけるは、たがうえし梅にかあるらん、十一月しもつきの月の始を、早も咲有流さきたる
墨汁一滴 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
散りこすなゆめと言ひつゝ、幾許こゝだくるものを、うたてきやしこほとゝぎす、あかつき心悲うらかなしきに、追へど追へど尚ほし鳴きて、いたづらに地に散らせれば、すべをなみぢて手折たをりて、見ませ吾姉子あぎもこ
浮標 (新字旧仮名) / 三好十郎(著)