“平時”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
いつも64.1%
つね12.8%
いつ10.3%
へいじ7.7%
ふだん5.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
潮の退おちた時は沼とも思はるゝ入江が高潮たかしほと月の光とでまるで樣子が變り、僕には平時いつも見慣れた泥臭い入江のやうな氣がしなかつた。
少年の悲哀 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
お通は家に帰りてより言行ほとんど平時つねのごとく、あるいは泣き、あるいは怨じて、尉官近藤の夫人たる、風采ふうさいと態度とを失うことをなさざりき。
琵琶伝 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
銀之助の不平は最早もう二月ふたつき前からのことである。そして平時いつこの不平を明白あからさまに口へ出して言ふ時は『下宿屋だつて』を持出もちだす。決して腹の底の或物あるものは出さない。
節操 (新字旧仮名) / 国木田独歩(著)
しかるを、元嘉げんか京洛きやうらく貴婦人きふじん才媛さいゑんは、平時へいじくだん墮馬髻だばきつふ。たとへばまげ片潰かたつぶしてなびつくりてうまよりちてもとゞり横状よこざまくづれたるなり
唐模様 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
岩——の士族屋敷もこの日はそのために多少の談話と笑声しょうせいとを増し、日常ひごろさびしい杉のもり付近までが何となく平時ふだんちがっていた。
河霧 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)