“宵月”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
よいづき85.7%
よひづき14.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
宵月よいづきの頃だったのに、曇ってたので、星も見えないで、陰々として一面にものの色が灰のようにうるんでいた、蛙がしきりになく。
化鳥 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
大きな宵月よいづきが、狩野川かのがわの上流からのぼっていた。木々が光る。時政も頼朝も、やがてそれへ登って来た。夏なのに、ふしぎに皆、肌寒さが感じられた。
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
みどりいよ/\こまやかにして、夏木立なつこだちふかところやまいうさとしづかに、しかいまさかりをんな白百合しらゆりはなはだへみつあらへば、清水しみづかみたけながく、眞珠しんじゆながれしづくして、小鮎こあゆかんざし宵月よひづきかげはしる。
月令十二態 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
身に付ゐたるが天神丸の巖石に打付うちつけられし機會はずみはるかの岩の上へ打上られしばし正氣しやうきも有ざりけるやゝときすぎて心付ほつと一いきつきゆめの覺し如くさるにても船は如何せしやとかすかにてら宵月よひづきの光りにすかし見ば廿人の者共は如何にせしや一人もかげだになし無漸むざん鯨魚くぢら餌食ゑじきと成しか其か中にてもわれひとりからくいのちたすかりしは
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)