“娑婆苦”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
しゃばく66.7%
しやばく33.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
古人は神の前に懺悔ざんげした。今人は社会の前に懺悔している。すると阿呆や悪党を除けば、何びとも何かに懺悔せずには娑婆苦しゃばくに堪えることは出来ないのかも知れない。
侏儒の言葉 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
羅刹らせつ地獄の六道の娑婆苦しゃばくも能く救うというお地蔵さまも、まことは、一仏二体がその本相であり、半面は慈悲をあらわしているが、もう半面の裏のおすがたは、忿怒ふんぬ勇猛な閻魔王えんまおうであって
私本太平記:01 あしかが帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そこにはたとひ娑婆苦しやばくはあつても、地獄の業火ごふくわは燃えてゐない。けれども正宗氏はこの地面の下に必ず地獄をのぞかせてゐる。
「何の為にこいつも生まれて来たのだらう? この娑婆苦しやばくの充ち満ちた世界へ。——何の為に又こいつもおれのやうなものを父にする運命をになつたのだらう?」
或阿呆の一生 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)