“唯々”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
いい62.8%
ただただ9.0%
たゞ/\9.0%
ゐゝ6.4%
はい/\3.8%
はいはい2.6%
いゝ1.3%
おめおめ1.3%
ただ1.3%
たゞ1.3%
ゐゐ1.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
玄恵は、彼らに利用されるのを、知ってか知らずにか、唯々いいとして、それにも出席し、天皇の侍読じどくげられれば、それにもなった。
私本太平記:03 みなかみ帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
故人をあやまり伝えてもなりませず、何かひょうをやるようにも当りますから、唯々ただただ、かのな、婦人との模様だけ、お物語りしましょうで。
春昼 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
小池こいけは窓の外ばかり眺めて、インヂンから飛び散る石油の油煙ゆえんにも氣がつかぬらしく、唯々たゞ/\乘り合ひの人々に顏を見られまいとしてゐた。
東光院 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
韓湘かんしやう唯々ゐゝかしこまりて、つめむがごとくにして、ぽつ/\となにつまんでふ。さまくに豌豆豆ゑんどうまめかじるにたり。
花間文字 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
北八きたはち心得こゝろえたるかほはすれども、さすがにどぎまぎしてはむとほつするところらず、おかみさんかへりにするよ。唯々はい/\。お邪魔じやまでしたとにいさんはうまいものなり。
弥次行 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
翁さん姨さんの頼と有つて見れば、僕は不承知を言ふことの出来ない身分だから、唯々はいはいと言つて聞いてゐたけれど、みいさんは幾多いくらでも剛情を張つて差支さしつかへ無いのだ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
万物ばんぶつの天理しふべからざる事かくのごとしといひければ、問客とひしひと唯々いゝとしてりぬ。雪頽なだれこと/″\方形かどだつのみにもあらざれども十にして七八は方形をうしなはず、ゆゑに此せつくだせり。
「何新聞か知らんけれど、それは間の間違ぢやが。おれならそんな場合に出会うたて、唯々おめおめうたれちやをりやせん。何の先は二人でないかい、五人までは敵手あひてにしてくれるが」
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
変って居るのは唯々ただ何時いつもの通り夜になると不動様を拝むことだけで、僕等ぼくらもこれは最早もはや見慣れて居るからしいて気にもかゝりませんでした。
運命論者 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
唯々たゞ大きなものとか、深いものとか、立派なものとか、ゑらいものとか、さういふものを自分の眼の前に見るばかりである。
エンジンの響 (新字旧仮名) / 田山花袋田山録弥(著)
すつかり氣を呑まれた莊公は唯々ゐゐとして「諾」と答へるほかは無い。
盈虚 (旧字旧仮名) / 中島敦(著)