“咄嵯”の読み方と例文
読み方割合
とっさ100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
決然として振り払えば、力かなわで手を放てる、咄嵯とっさに巡査は一躍して、棄つるがごとく身を投ぜり。お香はハッと絶え入りぬ。
夜行巡査 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
伝吉はうしろ手に障子をしめ、「服部平四郎はっとりへいしろう」と声をかけた。坊主はそれでも驚きもせずに、不審ふしんそうに客を振り返った。が、白刃しらはの光りを見ると、咄嵯とっさ法衣ころもひざを起した。
伝吉の敵打ち (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
生きた心地も無いこの哀れな青年を前にして、技手は全く途方にくれたようであったが、一方空っぽにして来た変電所の事も気になるらしく、咄嵯とっさうにか、後始末の手段を考えてくれた。
白蛇の死 (新字新仮名) / 海野十三(著)