“周囲”のいろいろな読み方と例文
旧字:周圍
読み方割合
まわり61.5%
あたり10.6%
まはり9.9%
しゅうい7.6%
ぐるり5.1%
めぐり3.0%
しうゐ0.6%
そこいら0.6%
いまわり0.4%
はた0.2%
ゐまはり0.2%
マハリ0.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
彼は先生の家の周囲まわりを歩くというだけで満足して、やがて金目垣に囲われた平屋造りの建物の側面と勝手口の障子とを眺めて通った。
桜の実の熟する時 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
周囲あたりは下町らしいにぎやかな朝の声で満たされた。納豆なっとう売の呼声も、豆腐屋の喇叭らっぱも、お母さんの耳にはめずらしいもののようであった。
桜の実の熟する時 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
君には分からないから云つて聞かせるが、偉大な思想は僕を饜飫えんよくさせる。そして僕の体の周囲まはりの闇を昼の如くに照らしてゐるのだよ。
この湖の周囲しゅういには、土浦つちうら石岡いしおか潮来いたこ江戸崎えどざきなどという町々のほかに、たくさんの百姓村ひゃくしょうむらが、一里おき二里おきにならんでいます。
あたまでっかち (新字新仮名) / 下村千秋(著)
で、もう逃げて居らんのかと思うとまたくるくると廻って自分の近くに来て居る。いつまでもくるくる人の周囲ぐるりを廻って見て居るです。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
諏訪の湖あかり——周囲めぐりの山が昏れてから、ぽんと一枚、仰むきに置かれた、手鏡。このやうなところに、身だしなみはある。天は洒落しやれものだ。
独楽 (新字旧仮名) / 高祖保(著)
いや、笑事わらひごとではない。しばらくして——ひがしうみかぎり、きた野辺地のへぢいたるまで、東西とうざい南北なんぼく十三周囲しうゐ十六
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
父の呼ぶ声がた聞えた。急に丑松は立留つて、星明りに周囲そこいらすかしてたが、別に人の影らしいものが目に入るでも無かつた。すべては皆な無言である。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
さあ、いろいろはなせば長いけれど……あれからすぐ船へ乗り込んで横浜を出て、翌年あくるとしの春から夏へ、主に朝鮮の周囲いまわり膃肭獣おっとせいっていたのさ。
深川女房 (新字新仮名) / 小栗風葉(著)
岸本が自分の生活を根からくつがえそうとして掛ったことは、今更眼に見えない牢屋ろうやなぞを出られてたまるものかというものをも、うそを嘘として置いて貰わないことには周囲はたで迷惑だというものをも
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
松屋まつや建物たてもの周囲ゐまはり燈火あかりすくな道端みちばたには四五にんヅヽをんなてゐないばんはない。
吾妻橋 (新字旧仮名) / 永井荷風永井壮吉(著)
我々の周囲マハリにある物が、皆魂を持つてゐるやうに、我々の手に掴む事が出来ない、目に見る事も出来ないけれど、而も自己の口を働かしてゐる言葉に、精霊が潜んでゐるのだ
国語と民俗学 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)