“却”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
かえ57.8%
かへ18.5%
かえっ11.4%
かへつ5.3%
しりぞ5.2%
けえ0.3%
かえつ0.2%
カエ0.2%
カヘツ0.1%
おびや0.1%
けえつ0.1%
けく0.1%
けへ0.1%
こう0.1%
にげ0.1%
はた0.1%
シリゾ0.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
先生は各人が自分の個性を伸ばしてゆくことを望まれて、いたずらに先生の真似をするが如きことはかえって苦々しく感じられたであろう。
西田先生のことども (新字新仮名) / 三木清(著)
まへ講釈かうしやくのと読較よみくらべると、按摩あんまのちさむらひ取立とりたてられたとはなしより、此天狗このてんぐ化物ばけものらしいはうが、かへつて事実じゝつえるのが面白おもしろい。
怪力 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
家康とは余り交情の親しいことも無かったのであり、政宗はかえって家康と馬が合ったようであるから、此談もちと受取りかねるのである。
蒲生氏郷 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
『いや/\、わたくしかへつて、天外てんぐわい※里ばんり此樣こんしまから、何時いつまでも、君等きみら故郷こきようそらのぞませることなさけなくかんずるのです。』と嘆息たんそくしつゝ
ローマ法族の法神パピニアーヌスは誣妄ふぼうの詔を草せずして節に死し、回々法族の法神ハネフィヤは栄職をしりぞけて一死その志を貫いた。
法窓夜話:02 法窓夜話 (新字新仮名) / 穂積陳重(著)
村落むらあんさ、何處どこつちつたつて場所ばしよはねえんですから、なあにひとりでせえありやけえつてふところはえゝんでがすから」
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
然し、今日私が、過去の錯乱を去つたのは、実に私が、謂はば、自力的に求めたればこそで、かえつて今日はじめて、花の美しさをも感じられるやうになつた次第である。
詩壇への抱負 (新字旧仮名) / 中原中也(著)
北京ホッケイ盧俊儀ロシュンギハ善人ナリ 衆望 人ノミナシタウ所ナリ。然ルニ 賄賂ワイロニ毒セラレタル官コレヲ捕エテ カエッテ淫婦奸夫ヲ殺サズ。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
乳母があわてゝ探すだらう、と言ふ心が起つて来ても、カヘツてほのかな、こみあげ笑ひを誘ふ位の事になつてゐる。
死者の書 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
加賀野江弥八が平らげた伊吹の山賊鬼装して近郷をおびやかした話などを参ずるに、迷信強い世にはあり得べき事だ。
ひどやすくなつちやつたな、さむつちや保存もちがえゝのにけえつやすいつちうんだからまる反對あべこべになつちやつたんだな」勘次かんじ青菜あをなをけならべつゝいつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
若きをのこ七二けくおびえして、銭おほくつひやすことよといふに、殿とののぼらせ給ふ時、七三小豆嶋あづきじまより七四室津むろづのわたりし給ふに、七五なまからきめにあはせ給ふを、みともはべりしもののかたりしを思へば
この病氣びやうきあがりの細君さいくんこゝろやすめるためには、けへつてそれを冗談じようだんにしてわらつて仕舞しまはうからうとかんがへたので
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
「聴きしに優ると来たか、お前の学もいよいよこうを積んで、近頃は俺にもわからねえことがあるよ」
「抜いたな」と馬琴は感付いたが、にげも走りもしなかった。かえって彼は立ち止まったのである。
戯作者 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
緊羯羅こんがら童子を使うて、世間の新聞一切報告せしむる方を載せ、この童子用なき日は、一百金銭を持ち来り、持呪者に与う、しかしその銭は仏法僧のためにつかはたし、決しておしんじゃいけないとは
この副産物をタクミに利用するといふことも、詩としてはあながちにシリゾくべきことではないと思ふ。
和歌批判の範疇 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)