“卑狗”の読み方と例文
読み方割合
ひこ100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
夜はけた。彼女は椎のこずえの上に、むらがった笹葉ささばの上に、そうして、しずかな暗闇に垂れ下った藤蔓ふじづる隙々すきずきに、亡き卑狗ひこ大兄おおえの姿を見た。
日輪 (新字新仮名) / 横光利一(著)
卑弥呼は薄桃色の染衣しめごろもに身を包んで、やがて彼女の良人おっととなるべき卑狗ひこ大兄おおえと向い合いながら、鹿の毛皮の上で管玉くだだまと勾玉とをけていた。
日輪 (新字新仮名) / 横光利一(著)
それに続いて、剣を抜いた君長ひとこのかみが、鏡を抱いた王妃おうひが、そうして、卑弥呼は、管玉くだだまをかけ連ねた瓊矛ぬぼこを持った卑狗ひこ大兄おおえと並んで、白い孔雀くじゃくのように進んで来た。
日輪 (新字新仮名) / 横光利一(著)