“劫”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
こう34.1%
おびや15.9%
ごう13.6%
こふ11.4%
ごふ6.8%
おびやか4.5%
カルパ3.4%
おど2.3%
おび2.3%
かえ1.1%
かへ1.1%
がう1.1%
がふ1.1%
コフ1.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
「そうなりますと、絶体絶命、こうに受けるより手がなくなりました。上手うわてに向っての劫は大損でございますが、仕方がありません」
大菩薩峠:21 無明の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
諸侯の領内の治外法権地に拠り、百姓・町人をおびやかすばかりか、領主の命をも聴かなかつた。其為、山伏し殺戮がしばしば行はれてゐる。
勇と秀子の猛烈な恋にごうを煮やして、老嬢オールドミスの岡焼半分に、その二品を取出して、勇の発見するような場所へそっと移したのでした。
流行作家の死 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
「やつて見ませう。あの味噌擂用人なんか、何處かの縁の下にこふを經た、がまの精か何んかに違げえねえと思ふんだが」
北方の山の湖水にごふを経た大蛇が、将来えらい人がこの国に来て蛇族全部を退治してしまふといふ予言をきいたので、さういふ災禍の来ない前に海に逃げてしまはうと思つて
大へび小へび (新字旧仮名) / 片山広子(著)
われは眠ることを期せずして、身を藁蓆の上にたふしゝに、さきの日よりの恐ろしき經歴は魘夢えんむの如く我心をおびやかし來りぬ。
すべての生物はみな無量のカルパの昔から流転るてんに流転を重ねて来た。流転の階段は大きく分けて九つある。われらはまのあたりその二つを見る。一つのたましいはある時は人を感ずる。
ビジテリアン大祭 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
「おお、居ねえ、居めえよ、おめえ。一つおどかしておいて消えたずら。いつまでもあらわれていそうな奴じゃあねえだ。」
貝の穴に河童の居る事 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
一人はせた老人で、それは浮出た松の根に腰をかけておりました。一人は物におびえるようなおどおどした眼つきをしたわかい男で、それはすなの上に腰をおろして、両足を投げ出しておりました。
宇賀長者物語 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
窓の外には一ぴきの古狸がうずくまっていたが、狸は庄造の姿を見ても別に逃げようともしないのみか、かえってうれしそうに尻尾をるのであった。
狸と俳人 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
評定役ひやうぢやうやく、著座、大番頭おおばんがしら出入司しゆつにふづかさ、小姓頭、目附役の順序を以て、幕府の目附に謁し、杯を受けるのであるに、著座と称する家柄の采女がかへつて目附役の次に出された。
椙原品 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
篇中で一番面白いのは、大臣のつれないのにがうを煮やして、尼になる覚悟で、鳴滝の山寺に参籠する条である。あそこは立派に小説になる。
早春 (新字旧仮名) / 田山花袋田山録弥(著)
あがれば、ひとつ、がふの世に惑星うまれ
第二邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
こんどほど道化役のむづかしさを思つたことがない。コフを経た吉之丞の希世の動きが律動的に行かなかつたために、眼目の臨書・伝授のくだりが、かき乱された。
手習鑑評判記 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)