“倦怠”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
けんたい71.7%
アンニュイ5.3%
だる5.3%
けた2.6%
けだる2.0%
けったる2.0%
けたる1.3%
だるさ1.3%
アンニユイ1.3%
アニュイ0.7%
まだるつこ0.7%
あき0.7%
けだい0.7%
けだるさ0.7%
0.7%
だるい0.7%
だれ0.7%
ものう0.7%
アンニユー0.7%
ケンタイ0.7%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
然し一時間前の倦怠けんたいではもうありませんでした。私はそのきぬずれのようなまた小人国の汽車のような可愛いリズムに聴き入りました。
橡の花 (新字新仮名) / 梶井基次郎(著)
疲労または倦怠アンニュイが一たんそうしたものに変わったが最後、いつも私は終わりまでその犠牲になり通さなければならないのだった。
冬の蠅 (新字新仮名) / 梶井基次郎(著)
明けても暮れても雨と暑さ、そしてこの倦怠だるさと一日一日灰色に乾干ひからびてゆく心! こんな世界に、何が始まり得るというのだろう。
令嬢エミーラの日記 (新字新仮名) / 橘外男(著)
「しかしああ込んじゃたまらないよ」と宗助が机のはじひじを持たせながら、倦怠けたるそうに云った。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)
倦怠けだるいような、銷沈けうといような、頭の血がすっと下ったという感じで、まるで夢見るような気持で、彼は手に持った二つの名を、ぼんやりと見詰めているのだ。
人魚謎お岩殺し (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
東片町時代には大分老耄ろうもうして居睡いねむりばかりしていたが、この婆さん猫が時々二葉亭の膝へ這上はいあがって甘垂あまったれ声をして倦怠けったるそうにじゃれていた。
二葉亭余談 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
外ではしきりに悪感おかんがした。舌が重々しくぱさついて、熱のある人のように身体全体が倦怠けたるかった。彼は自分の脈を取って見て、その早いのに驚ろいた。
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
それから頭痛、のぼせ、肩の凝り、体の倦怠だるさ、足腰の痛みなど絶えてなく、按摩あんまは私には全く用がありません。また下痢なども余りせず両便とも頗る順調です。
唯、何時いつもよりも口数が少くなつて、ややもすると談柄だんぺいを失しがちである。そこで津藤は、これを嫖客へうかくのかかりやすい倦怠アンニユイだと解釈した。
孤独地獄 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
「理知の人」にあっては、「精神の肉体」に、恐らく彼に残された、もはや薄い、生命の衣、倦怠アニュイという衣がからみついている。
二十歳のエチュード (新字新仮名) / 原口統三(著)
「さうだことあねえで、そらたつとかうてえつんだすもんだ、倦怠まだるつこくつてやうねえ此等こツらがな」先刻さつきぢいさんはまたぱいをぐつとして呶鳴どなつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
彼様あゝいふ調子で、ずつと今迄進んで来たら、奈何どんなにか好からうと思ふんですけれど、少許すこし羽振が良くなるとすぐに物に飽きるから困る。倦怠あきが来ると、た病気が起る。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
倦怠けだいのうちに死を夢む
山羊の歌 (新字旧仮名) / 中原中也(著)
あの荒涼とした物の輝き一つない倦怠けだるさの中から、妙に音のような、なんとなく鎖が引摺られてゆくのに似た、響が聞えてきて、しかも、それが今にも、皮質をぐるぐる捲き付けて
白蟻 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
何にも為る事がない、ただもう倦怠るい、仕方が無いので妹の鏡台を縁側に持ち出して又かうやつて剃刀の刃をあたる。
桐の花 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
みしりと音がするほど、関節が窮屈に硬張こわばって、動きたがらない。じっとして、布団の中に膝頭ひざがしらを横たえていると、倦怠だるいのを通り越して重い。
坑夫 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
漸次ぜんじ人勢にんずえておほきな内側うちがはさらちひさゑがかれた。太鼓たいこ倦怠だれれば
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
男女の朝鮮人の農民が、ぼんやり集まって、倦怠ものうそうに路上に立ったりしゃがんだりしている。みな朝鮮服で、長煙管ながぎせるをふかしている者、洋傘こうもりをさしているものもある。
それから、第一主題テーマが、恰であそびだ。魂に触れる何物もないぢやないか。何らの象徴シムボルがない。……憧憬もない、と云つてまた倦怠アンニユーのメランコリアもない。
眠い一日 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
スランプトハ、コノ様ナ、パッション消エタル白日ノ下ノ倦怠ケンタイ、真空管ノ中ノ重サ失ッタ羽毛、ナカナカ、ヤリキレヌモノデアル。
創生記 (新字新仮名) / 太宰治(著)