“俯向”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
うつむ93.0%
うつむき4.0%
うつむけ1.2%
うつむい0.5%
うつぶ0.3%
うつむか0.3%
あおむ0.2%
あふむ0.2%
うつぶし0.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
その頃、崖邸のおじょうさんと呼ばれていた真佐子は、あまり目立たない少女だった。無口で俯向うつむがちで、くせにはよく片唇かたくちびるんでいた。
金魚撩乱 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
さかしまに天国を辞して奈落の暗きに落つるセータンの耳を切る地獄の風はプライド! プライド! と叫ぶ。——藤尾は俯向うつむきながら下唇をんだ。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
……さ、お横に、とこれから腰をむのだが、横にもすれば、俯向うつむけにもする、一つくるりと返して、ふわりと柔くまた横にもしよう。
怨霊借用 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
二人ふたりが表てゞならんだ時、美禰子は俯向うつむいて右の手をひたひてた。周は人がうづいてゐる。三四郎は女の耳へくちを寄せた。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
翁は、机の上の書物を伏せて、手を合せて指を組んで、頭の上にあて俯向うつぶして、神に何をか祈る……翁が初めの五年、六年は斯様風のものであった。
(新字新仮名) / 小川未明(著)
その行く処、飛ぶ処へ、人のからだを持って行って、仰向あおむけにも、俯向うつむかせにもたたきつけるのです。
雪霊記事 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
抜けつくぐりつ、こやの軽いのにゃ飽倦あぐねッちゃって、二人とも大汗になって、トド打掴ふんづかまえ、掛けたのを外しにかかると、俯向あおむけに倒れながら、まだ抵抗てむかう気だ。
わか紫 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
床はまだ敷かなかつた樣子、座蒲團の上へ俯向あふむきになつた恰好で、傷は前から二箇所。いづれも咽喉のどを突いたものですが、血潮の凄まじさは、大動脈を切つたのが致命傷になつたためでせう。
左門慌忙あわてとどめんとすれば、陰風いんぷうまなこくらみて行方ゆくへをしらず。俯向うつぶしにつまづき倒れたるままに、声を放ちて大いになげく。