“仰向”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
あおむ58.0%
あおむけ13.2%
あふむ10.6%
あおむき3.7%
あをむ3.0%
あふむけ2.1%
あおの1.4%
あふの0.7%
あふむき0.7%
あほの0.7%
あほむけ0.7%
あをむけ0.7%
あほむ0.5%
あうむ0.5%
あお0.5%
あほのき0.5%
のつけ0.2%
ああむ0.2%
あおのけ0.2%
あおむい0.2%
あふのい0.2%
あふむく0.2%
あほのけ0.2%
あをむき0.2%
うつむ0.2%
おあおむ0.2%
おあむ0.2%
おうのけ0.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
そうして時々仔細しさいらしく頭を動かしてあちらを向いたりこちらを向いたり、仰向あおむいたり俯向うつむいたりするのが実に可愛い見物である。
鴉と唱歌 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
離すと、いことに、あたり近所の、我朝わがちょう姉様あねさま仰向あおむけ抱込だきこんで、ひっくりかへりさうであぶないから、不気味らしくも手からは落さず……
印度更紗 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
烈々れつ/\える暖炉だんろのほてりで、あかかほの、小刀ナイフつたまゝ頤杖あごづゑをついて、仰向あふむいて、ひよいと此方こちらいたちゝかほ真蒼まつさをつた。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
母はいつもと同じように右の肩を下に、自分の方を向いて、少し仰向あおむき加減に軽く口を結んでいかにも寝相ねぞうよくすやすやと眠っている。
寐顔 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
一廻ひとまはりくるりとにまはつて前足まへあしをついて、棒杭ばうぐひうへつて、お天気てんきるのであらう、仰向あをむいてそらた。れるといまにくよ。
化鳥 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
抱起だきおこして「これ、俯向うつむき轉倒ころばしゃったな? いま一段もっと怜悧者りこうものにならッしゃると、仰向あふむけ轉倒ころばっしゃらう、なァ、いと?」とふとな
密閉した暗室の前に椅子が五脚ばかり並んで、それへ掛けたのが一人、男が一人、向うの寝台ねだいの上に胸を開けて仰向あおのけになっている。
三枚続 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
心細き事を思ふては干場の傘のかげに隱くれて大地を枕に仰向あふのき臥してはこぼるゝ涙を呑込みぬる悲しさ
わかれ道 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
面白いのはこの足数も踏むに連れて、沿道の人家や立木やが次から次へと眼の前に幻となつて展開する事で、五雲は仰向あふむきになつて
このやうの数々を並らべて男なきに涙のこぼれるに、ふり仰向あほのいてはんけちに顔をぬぐふさま、心よわげなれどれもこんな物なるべし、今から帰るといふ故郷ふるさとの事養家のこと
ゆく雲 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
三四郎はめしも食はずに、仰向あほむけに天井をながめてゐた。時々とき/″\うと/\ねむくなる。あきらかに熱とつかれとに囚はれた有様である。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
はなすと、いことに、あたり近所きんじよの、我朝わがてう※樣あねさま仰向あをむけ抱込だきこんで、ひつくりかへりさうであぶないから、不氣味ぶきみらしくもからはおとさず……
印度更紗 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「是はなんでせう」と云つて、仰向あほむいた。あたまうへには大きなしいの木が、日のらない程あつい葉をしげらして、丸いかたちに、水際みづぎは迄張り出してゐた。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
むらのはづれには「けんぽなし」といふもあつて、たかえだうへ珊瑚珠さんごじゆのやうな時分じぶんには木曽路きそぢとほ旅人たびびとはめづらしさうに仰向あうむいてきましたが
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
ぱッとくちからも鼻腔はなからも血を噴いて、花顔かがんむなしく、虚空をつかむようにのけ反ッてクルと仰向あおに仆れてしまったのであった。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
返事へんじはなくて吐息といき折々おり/\ふと身動みうごきもせず仰向あほのきふしたる心根こゝろねつらさ、其身そのみになつてもおりきことわすれられぬが、十ねんつれそふて子供こどもまでもうけしれにこゝろかぎりの辛苦くろうをさせて
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
をつとかたきおぼえたかといひさま彼の懷劍くわいけん胴腹どうばら突込つきこみしかばへい四郎はアツトこゑたて仰向のつけたふれ七てんたうなすゆゑ隣の座敷ざしきは源八歌浦うたうらなれば此聲このこゑおどろ馳來はせきたるを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
不意をくらった相手は「うッ」とうなると、うしろへよろめいて、仰向ああむけにどたんとたおれた。すると意外なことが起こった。かれの頭部がはずれて、ころころと向うへころげたのであった。
怪星ガン (新字新仮名) / 海野十三(著)
荷足の仙太と云やア随分名代なでえの無鉄……ナニ誠にそのきつい人だと云って誰でもおめえさんは知ってやす、いつか五十軒で喧嘩の時に、お前さんが仰向あおのけに寝て
仰向あおむい蒼空あおぞらには、余残なごりの色も何時しか消えせて、今は一面の青海原、星さえ所斑ところまだらきらめでてんと交睫まばたきをするような真似まねをしている。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
このやうの數々を並べて男なきに涙のこぼれるに、ふり仰向あふのいてはんけちに顏を拭ふさま、心よわげなれど誰れもこんな物なるべし、今から歸るといふ故郷の事養家のこと
ゆく雲 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
わかしてつかはすはずなれど夫よりは近所ゆゑ湯に入てるがよいお文も父と共にゆくべしと辯舌べんぜつ利口りこうを以て口車くちぐるまに乘せ金のつると思ふめひのお文は如何なる容貌しろものかとお文が仰向あふむくかほ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
さま/″\ものをおもひたまへば、奧樣おくさま時々とき/\しやくおこくせつきて、はげしきとき仰向あほのけたほれて、いまにもるばかりのるしみ、はじめ皮下注射ひかちうしやなど醫者いしやをもちけれど、日毎夜毎ひごとよごとたびかさなれば
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
……腰うちかけて、身はなかば仰向あをむきなれば
カンタタ (旧字旧仮名) / ポール・クローデル(著)
クルクルと体を旋回し、脇腹を両手で抑えた浮藻は、やがて床の上へ仰向うつむけに倒れた。
あさひの鎧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
(まだあるか、)と仰向おあおむけに起きた、坊主の腹は、だぶだぶとふくれて、鰯のように青く光って、げいと、口からなまぐさい息を吹いた。随分大胆なのが、親子とも気絶しました。
半島一奇抄 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
五月躑躅さつきの葉蔭に、学生服の少年が咽喉のどから胸許むなもとにかけ真紅まっかな血を浴びて仰向おあむけにたおれていた。青年は芝草の上に膝を折って、少年の脈搏を調べ、まぶたを開いて瞳孔どうこうを見たが、もう全く事切れていた。
恐怖の口笛 (新字新仮名) / 海野十三(著)
ありゃあお前、弓矢じゃねえぜ、うんにゃ、矢は矢だが、背後から抱きすくめて手でこじりこせえたもんだ。その証拠を言おうか。仰向おうのけの胸に直に立った矢が、見事二つに折れてたじゃあねえか。