“仁”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
じん66.4%
ひと18.7%
ニン2.8%
ジン2.8%
なさけ1.9%
かた0.9%
さね0.9%
0.9%
にん0.9%
ひとし0.9%
まさ0.9%
まさし0.9%
やさ0.9%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
じんほどこすとか、仁政をくとか——口のさきでは余りいわないそうだが、老公の仁は、老公のする事なす事が自然それになっていた。
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ただ今当学校裁縫科の教師たる岡崎総吉と申すひとこそ下田において松陰を宿泊せしめたる旅亭の主人の子なれば、多少承知致しおらんと。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
彼が平右衛門役者としての素質は、彼自身之を破つて後も、一代彼のニンにある役柄と言ふべきものになつた。
実川延若讃 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
あのジンに會うて來た者の話では、豬肥ヰノコヾえのした、唯の漢土モロコシびとぢやつたげなが、心はまるで、やまとのものと、一つと思ふが、お身なら、ウベナうてくれるだらうの。
死者の書 (旧字旧仮名) / 折口信夫釈迢空(著)
こちとらの大家さんが高い家賃を取上げてたまさかに一杯飲ます、こりゃ何もなさけじゃねえ、いわば口塞くちふさぎ賄賂まいないさ、うらみを聞くまいための猿轡さるぐつわだ。
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
武「なにわしは医者じゃアないが、貴方は何かえ、此の長屋を支配なさる藤兵衞殿と仰しゃるかたかえ」
政談月の鏡 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
プラムを食しそのさねの数をかぞえて吉凶を卜すとし、火箸を炉の前に立てて火をおこすマジナイと称する等、種々のことあり。
欧米各国 政教日記 (新字新仮名) / 井上円了(著)
てんも暗号書の名で、天は普通暗号、仁は人事に関する暗号である。しかし五郎の口にのぼって来るのは〈暗号符字のまごつきに〉という部分だけであって、あとは元歌通りだ。
幻化 (新字新仮名) / 梅崎春生(著)
昔の高坂橋たかさかばしの南詰に大きな榎樹えのきがあった。橙紅色の丸薬のような実の落ち散ったのを拾って噛み砕くと堅い核の中に白いにんがあってそれが特殊な甘味をもっているのであった。
郷土的味覚 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
私は従弟にあたるひとしという二つ年下の子にあてた手紙を半紙に書いて、折り畳んでおもてに「いとこのひとしちゃんへ」と書いた。
生い立ちの記 (新字新仮名) / 小山清(著)
栗、きぬかつぎ、枝豆、そんなものでも持ちだしたかつたが、せめても、まさ坊がとつて來てくれたお花がきた。薄と紫苑を籠に入れて、床は嵐山渡月橋の幅にかけかへた。
おとづれ (旧字旧仮名) / 長谷川時雨(著)
まさしの両親とも日本橋生れで、なくなった母親は山王様の氏子うじこ此家こちらは神田の明神様の氏子、どっちにしても御祭礼おまつりにははばのきく氏子だというと、魚河岸から両国のきわまでは山王様の氏子だったのが
右の手高く振上ふりあげなたには鉄をも砕くべきが気高くやさしきなさけあふるるばかりたたゆる姿、さても水々として柔かそうな裸身はだかみらば熱血もほとばしりなんを、どうまあ邪見に鬼々おにおにしくやいばむごくあてらるべき
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)