“乍”のいろいろな読み方と例文

読み方	割合
なが	93.5%
たちま	3.9%
ながら	0.7%
たちまち	0.7%
はじ	0.3%
はや	0.3%
ま	0.3%
タチマ	0.3%

なが

薄暗い電燈の光の下（もと）で、鯰（なまず）の血のような色をした西瓜をかじり乍（なが）ら、はじめは、犯罪や幽霊に関するとりとめもない話を致しました。

手術 (新字新仮名) ／ 小酒井不木(著)

たちま

彼が新年の賀状を兄に送るや、乍（たちま）ちその本色を顕わして曰く、「一度（ひとたび）血を見申さざる内は、所詮（しょせん）忠義の人も著（あらわ）れ申さぬかと存じ奉り候」

吉田松陰 (新字新仮名) ／ 徳富蘇峰(著)

ながら

免（ゆる）しけり忠相ぬし忠兵衞に打向ひ小西屋長左衞門代人忠兵衞其方事主人（しゆじん）の申し附とは言乍（ながら）出所（しゆつしよ）不定（ふぢやう）の醫師（いし）の言葉を信（しん）じ結納（ゆひなふ）取交（とりかは）し迄濟（すみ）たる婚姻を

大岡政談 (旧字旧仮名) ／ 作者不詳(著)

たちまち

會話は甚だ輕く、交ふるに笑謔（せうぎやく）を以てす。セヰルラの剃手（とこや）の曲の爲めに登場する俳優は、乍（たちまち）ち去り乍ち來り、演戲のその心を擾（みだ）さゞること尋常（よのつね）の社交舞に異ならず。

即興詩人 (旧字旧仮名) ／ ハンス・クリスチャン・アンデルセン(著)

はじ

楊岐乍住屋壁疎　楊岐（ようぎ）乍（はじ）めて住するや屋壁（おくへき）疎（まば）らにして

僧堂教育論 (新字新仮名) ／ 鈴木大拙(著)

はや

『梁書』に〈倭国獣あり牛のごとし、山鼠と名づく、また大蛇あり、この獣を呑む、蛇皮堅くして斫（き）るべからず、その上孔あり、乍（はや）く開き乍く閉づ、時にあるいは光あり

十二支考：04　蛇に関する民俗と伝説 (新字新仮名) ／ 南方熊楠(著)

ま

一に曰（いは）く、和（やはらぎ）を以て貴しと為（な）し、忤（さか）ふこと無きを宗（むね）と為せ。人皆党（たむら）有り、亦（また）達（さと）れる者少し。是（これ）を以て、或は君父（きみかぞ）に順（したが）はずして乍（ま）た隣里（さととなり）に違（たが）ふ。

大和古寺風物誌 (新字新仮名) ／ 亀井勝一郎(著)

タチマ

乍（タチマ）チニシテ島原ノ妓楼廃止セラレテ那ノ輩這ノ地ニ転ジ、新古互ニ其ノ栄誉ヲ競フニオヨンデ、好声一時ニ騰々タルコトヲ得タリ。

上野 (新字新仮名) ／ 永井荷風(著)

乍	漢検準1級 部首:⼃ 5画