“丁”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
ちょう54.3%
ちやう18.9%
とん6.1%
てい5.5%
ちやん4.9%
ちゃん2.4%
てう1.2%
ひのと1.2%
よぼろ1.2%
ちよう0.6%
あた0.6%
ちょ0.6%
わかもの0.6%
イーヴン0.6%
チヨン0.6%
トン0.6%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
何もも忘れ果てて、狂気の如く、その音信おとずれて聞くと、お柳はちょう爾時そのとき……。あわれ、草木も、婦人おんなも、霊魂たましいに姿があるのか。
木精(三尺角拾遺) (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
さて、三ねんまへ、……ちがひます。なれども、おな霜月しもつきさり、ちやうおないま時刻じこくわれらにもお前樣まへさまおなことがありました。……
三人の盲の話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
とん、と一つ、軽くせなかを叩かれて、吃驚びっくりして後を振返って見ると、旦那様はもうこらえかねて様子を見にいらしったのです。
旧主人 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
とき蕎麥そばへば——ていと——なし。——なんだか三題噺さんだいばなしのやうだが、姑忘聽之しばらくわすれてきけていふのは、かつて(いまうだらう。)なしべるとふとふ。
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
雅さんのところへくときまつて、その為に御嫁入道具までちやん調こしらへて置きながら、今更外へゆかれますか、雅さんも考へて見て下さいな。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
刀や馬具なども買込んで、いざと言えば何時でも出発が出来るようにちゃんと準備が整えている。ところが秋山大尉は留守と来た。
(新字新仮名) / 徳田秋声(著)
れよと即坐そくざはさみりて女子おなごづれは切拔きりぬきにかゝる、をとこは三五らうなか仁和賀にわかのさらひ、北廓ほくくわく全盛ぜんせいわたせば、のき提燈ちようちん電氣燈でんきとう、いつもにぎはふ五てうまち、と諸聲もろごゑをかしくはやしつるに
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
嬰児あかごお鈴は今年生れたのだからもちろん酉だ。お久美の十三も嘉永二年の出生で己酉つちのととり。磯屋のおりんとお滝は二十五年の同年で天保八年の生れだが、天保八年は——これもまたひのとの酉!
「アア……それから今私は一寸学校に行てくるが、留守にいつものよぼろさんが来るかもしれないから其時は糸子さん、否でもすこしの間話相手になツてゐて下さいよ、ぢきかへるから……ね、外の人ぢやないからいゝでせう」
五大堂 (新字旧仮名) / 田沢稲舟(著)
「は?」彼は覚えず身をかへして、ちようと立てたる鉄鞭にり、こはこれ白日の夢か、空華くうげの形か、正体見んと為れど、酔眼のむなしく張るのみにて、ますまれざるはうたがひなり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
跋文ばつぶんを読むに、この書は二世瑞仙晋ずいせんしんの子直温ちょくおんあざな子徳しとくが、慶応元年九月六日に、初代瑞仙独美の五十年忌辰きしんあたって、あらたに歴代の位牌いはいを作り、あわせてこれを纂記さんきして、嶺松寺に納めたもので
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
腰を折ったり、四つにったり、背中をよこちょにしたり、頭だけ曲げたり、あな恰好かっこうしだいでいろいろに変化する。そうして非常に急ぐ。
坑夫 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「こんな熟字ってあるものじゃねえ。川は川だし大は大さ。丁は丁だし首は首だ。音で読めば川大丁首せんだいていしゅ。川大にしてわかものの首? こう読んだって始まらねえ。……こいつ恐らく隠語なんだろう」
銅銭会事変 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
坊主ばうず懐中ふところ輪袈裟わげさつてけ、老爺ぢい麻袋あさふくろさぐつた、烏帽子えぼうしチヨンかぶつて、あらためてづゝとた。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
内へ帰ると早速、夕餉ゆうげすまし、一寸ちょいと着換きかへ、糸、犬、いかり、などを書いた、読本どくほんを一冊、草紙そうしのやうに引提ひっさげて、母様おっかさんに、帯の結目むすびめトンたたかれると、すぐ戸外おもてへ。
処方秘箋 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)