“一片”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
ひとひら38.4%
ひときれ23.2%
いっぺん16.8%
いつぺん8.0%
ひとつ4.8%
ひとかけ4.8%
ひとへ0.8%
いっぺんの0.8%
ひとかた0.8%
ひとき0.8%
ひとは0.8%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
つち一升、かね一升の日本橋あたりで生れたものは、さぞ自然に恵まれまいと思われもしようが、全くあたしたちは生花きばな一片ひとひらも愛した。
輪切りにして一片ひときれをコップの底へ入れてその上から冷した紅茶をいで出します。紅茶は砂糖と乳とを混ぜて冷してもよし、砂糖ばかりを
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
彼は自分がまったく死にうせてしまわないようにと、自分の思想しそう一片いっぺんを自分の名もつけずに残しておくだけで、満足まんぞくしていたのである。
ジャン・クリストフ (新字新仮名) / ロマン・ロラン(著)
やがて、とことはのやみとなり、くもすみうへうるしかさね、つきほしつゝてて、時々とき/″\かぜつても、一片いつぺんうごくともえず。
寸情風土記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
下なるはいよいよ細りていつしか影も残らず消ゆれば、残れる一片ひとつはさらに灰色にうつろいて朦乎ぼいやりと空にさまよいしが
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
当るのには訳があって私は谷中の墓地は隅々まで精通していたから、文部大臣の森有礼を暗殺した西野文太郎の墓石を砕いてその一片ひとかけを懐にして行くのである。
回想録 (新字新仮名) / 高村光太郎(著)
烏江うこう水浅みずあさくして騅能逝すいよくゆくも一片いっぺんの義心ぎしん不可東ひんがしすべからずとは、往古おうこ漢楚かんその戦に、楚軍そぐんふるわず項羽こううが走りて烏江うこうほとりに至りしとき、或人はなお江を渡りて、再挙さいきょの望なきにあらずとてその死をとどめたりしかども
瘠我慢の説:02 瘠我慢の説 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
戦歿者の葬儀なども終って、一片ひとかたづきすると、秋風がふき始めた。輿論に耳のないような沈黙を見せて信長は夏の終りを過した。柴田、佐久間など、一時不首尾に悄気しょげていた面々が
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
母親は、また手品師のように、手をうら返しにして見せた後、飯を握り、蠅帳から具の一片ひときれを取りだして押しつけ、子供の皿に置いた。
(新字新仮名) / 岡本かの子(著)