“一夜”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
ひとよ49.6%
いちや31.6%
あるよ12.0%
ひとや2.3%
いちよ1.5%
ひとばん1.5%
ひとよさ0.8%
ヒトヨ0.8%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
「ええ、いい加減にやりましょう。——この一夜ひとよと女が云う。一夜? と男がきく。一と限るはつれなし、幾夜いくよを重ねてこそと云う」
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
一夜いちや涼風りょうふうを銀座に追う。ひとかたす。正にこれ連袵れんじんを成し挙袂きょべい幕を成し渾汗こんかん雨を成すの壮観なり。良家の児女盛装してカッフェーに出入す。
偏奇館漫録 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
一夜あるよ、清三は石川に手紙を書いた。初めはまじめに書いてみたが、あまり余裕よゆうがないのを自分で感じて、わざと律語りつごに書き直してみた。
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
容易ならぬ訳さ、せめて一生に一晩は、ういふ身の上にと、其の時分は思つた、其のとおつたもんだから、夢なら覚めるなと一夜ひとや明かした迄はかつたさうだが。
二世の契 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
翌暁あくるあさ小樽に着く迄は、腰下す席もない混雑で、私は一夜ひとばん車室の隅に立ち明した。小樽で下車して、姉の家で朝飯をしたため、三時間許りも仮寝うたたねをしてからまた車中の人となつた。
札幌 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
一夜ひとよさいのりはあげたけれど、用の間が忙しゅうて、夜さり高津の蛇穴へ放しにひまがない、頼まれてほしい——云うて、美津さんにことづきょう、とそれが用で顔見にかはった云うたやないか。
南地心中 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
新受戒者は、殊に厳重な束縛から、始めて一夜ヒトヨづまの居る、女の家に入る。