“ロマンス”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
小説13.3%
伝奇譚13.3%
冒険13.3%
華想曲13.3%
小唄6.7%
小曲6.7%
伝奇小説6.7%
浪漫斯6.7%
物語6.7%
空想6.7%
6.7%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
小説ロマンスとは circumstance の詩だと、彼は言った。事件インシデントよりも、それに依って生ずる幾つかの場面の効果を、彼は喜んだのである。
光と風と夢 (新字新仮名) / 中島敦(著)
二十世紀の伝奇譚ロマンスの主人公になつたやうな、不思議な歓びを与へて呉れた。
真珠夫人 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)
自分の人生に、明けかゝった冒険ロマンスあけぼのが、またそのまゝ夜の方へ、逆戻りしたようにも思われた。
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
音楽として聞かれるものは、速歩調やあるいは——祭りの日に——アドルフ・アダムの接続曲を奏する田舎楽隊、華想曲ロマンスをひく教会堂のオルガン、町の娘たちのピアノの練習、などばかりだった。
広場の少し手前にある一軒の小店の前の車道で、髪の黒い若い手回し風琴ふうきんやが立って、何やらひどく感傷的な小唄ロマンスを鳴らしていた。
彼女は大道芸人特有のかん高い、とはいえかなり感じのいい力のある声で、小店のなかから二カペイカ投げてくれるのを待ちながら、小唄ロマンスをうたっていた。
興の乘ったグリンカは、自分の作品のなかの氣に入っている曲を殘らず歌いかつ彈じたが、そのなかにこの小曲ロマンスもはいっていたのである。
ヴェリチャーニノフは、今ではほとんど誰にも知られていないような、あるグリンカの小曲ロマンスを選んで歌いだした。——
ある意味ではまさしく歴史小説であるよりも以上に伝奇小説ロマンスであるかもしれない。
僕の妻は小説と三面記事とを同じ物のごとく見傚みなす女であった。そうして両方ともうそと信じて疑わないほど浪漫斯ロマンスに縁の遠い女であった。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
そのために心楽しくて、すでに未来の物語ロマンスまでみずから描いていた。オリヴィエは病身で陰気であって、外界と接触することにたえずいらだちを感じた。
空想ロマンスの山の上のあけぼのもどのあけぼのも、たそがれもどのたそがれも彼女の美に比べることは出来なかった、その美の秘密はありとあらゆる蛍も夜のあらゆる星も知らなかった
人馬のにひ妻 (新字新仮名) / ロード・ダンセイニ(著)
詩がわかるとか、ウタが好きだといふやうな呑気なものではなくつて大旅団のかしらから一兵卒に至るまでが、夫々悉く「ロマンス」の作家であつたといふのだ。
浪曼的月評 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)