“サイレン”のいろいろな漢字の書き方と例文
ひらがな:さいれん
語句割合
警笛52.9%
妖魚11.8%
号笛5.9%
汽笛5.9%
海の魔女5.9%
警鈴5.9%
風笛5.9%
魔女5.9%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
風雨の烈しい音にも消されずに、警笛サイレンの響は忽ちに近づいた。門内の闇がパツと明るく照されて、その光の裡に雨が銀糸を列ねたやうに降つてゐた。
真珠夫人 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)
「渥美さん! 渥美さん! 一寸ちょっとお待ち下さい。」と、云う夫人の美しい言葉が聞えて来た。信一郎はそれを船人の命を奪う妖魚サイレンの声として、そのまゝ聞き流して、戸外へ飛び出そうと思った。
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
子分らは鞄をあける 時も時 沖渡る船の汽笛サイレン
山果集 (旧字旧仮名) / 三好達治(著)
その騒音はあたりにいっぱいで、それを貫いて海の魔女サイレンのような変化のない高い調子が響くのが聞えた。
審判 (新字新仮名) / フランツ・カフカ(著)
救急車の警鈴サイレンが鳴り、間もなく鐵格子に掴まつてゐた人々はその場から去りはじめた。
末野女 (旧字旧仮名) / 室生犀星(著)
風笛サイレンのやうに凄じい音もたてかねまじき勢ひで程好い重味を持つた振子は、鮮かに地をかすめたかと見ると、忽ちまりのやうに中空に浮びあがつた。
海棠の家 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
常識から言えば、こんな物は五番街のショーウインドでも見かけたことがありそうだつたが、現在ここで見ると、地中海の異教の魔女サイレンがあざわらつている声のような気がした。