“わたつみ”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:ワタツミ
語句割合
海神24.0%
綿津見24.0%
渡津海16.0%
大海8.0%
綿摘4.0%
大洋4.0%
太洋4.0%
海洋4.0%
海若4.0%
竜神4.0%
蒼海4.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
海神わたつみの宮の話があると、それはどこかの地方的勢力、または海中の島国のことであると考える。八股蛇やまたのおろちの物語があるとそれは賊軍を征服せられたことだという。
神代史の研究法 (新字新仮名) / 津田左右吉(著)
この点が日本上代の綿津見わたつみみやの言い伝えと、沖縄方面のニルヤカナヤの観念との、二つを一つに見ることのできない、最も顕著なる差別であろうと思うが、こうなってきた原因も
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
肉落ちて血色なく、死人の如き面なれど、これのみは年も病もえ奪はざりけん、暗黒にして、渡津海わたつみのそこひなきにも譬へつべき瞳は、磁石の鐵を吸ふ如く、我面に注がれたり。
どよみよ、大海わたつみなみとゆる
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫薄田淳介(著)
「隣町の——と言つたところで、此塾とは背中合せの綿摘わたつみの師匠の妹で」
綿摘わたつみの師匠のお喜代は、親類へ泊りに行つて二三日留守、弟子達にも一日の暇をやつて、怠屈で/\仕樣が無いから、是非來てくれ——とお喜代の妹お咲からの使ひでした、——時刻は正子刻こゝのつ
まろく拡がり、大洋わたつみうしおを取って、穂先に滝津瀬たきつせ水筋みすじの高くなり川面かわづらからそそむのが、一揉ひともみ揉んで、どうと落ちる……一方口いっぽうぐちのはけみちなれば、橋の下は颯々さっさっと瀬になって
海の使者 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
僕はお前の指を揉みながら遠い太洋わたつみを百年間も泳ぎ続けて来たやうな、長い疲れに襲はれてしまふ。
海の霧 (新字旧仮名) / 坂口安吾(著)
乙姫おとひめさんのたつの都からくる春の潮の、海洋わたつみかすみが娘の目に来た。
田沢稲船 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
四五海若わたつみみことのりあり。老僧かねて四六放生はうじやう功徳くどく多し。今、江に入りて魚の遊躍あそびをねがふ。かり金鯉きんりふくを授けて四七水府すゐふのたのしみをせさせ給ふ。
かざり電気の灯火つねよりも倍したる明るさをもて海のくらがりを破るありさまは、余りなる人の子よと竜神わたつみいからずやなど思ひ申しさふらふ。初めの程のピヤニストのすぐれたれば声曲家せいきよくかは皆いろなく見え申しさふらふ
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
その夜はやがて、砂白く、がけあおき、玲瓏れいろうたる江見の月に、やっこが号外、悲しげに浦をけ廻って、蒼海わたつみの浪ぞ荒かりける。
海異記 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)