“よすが”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
便宜47.6%
便14.3%
由縁9.5%
9.5%
4.8%
因縁4.8%
所縁4.8%
縁因4.8%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
その後ふたたびかの場所へ行ってみると、そこらには草木が一面におい茂っているばかりで、むかしの跡をたずねる便宜よすがもありませんでした。
たゞ此の文と直江志津の一刀のみは鐘楼の鐘の下に伏せ置き、後日の証拠あかしとし、世の疑ひを解かむ便よすがとせむ心算つもりなり。
白くれない (新字新仮名) / 夢野久作(著)
が、此の部屋を離れて、いな母を離れて、彼女は一人何処どこへ行くところがあろう。たゞ一人、すがり付く由縁よすがとした母を離れて何処いずこへ行くところがあろう。
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
自分は天の冥加みょうがに叶って今かくとうとい身にはなったが、氏も素性もないものである、草刈りが成上ったものであるから、いにしえ鎌子かまこ大臣おとど御名おんなよすがにして藤原氏になりたいものだ。
魔法修行者 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
かくしづんでときには、にぎはしき光景くわうけいにてもながめなば、幾分いくぶんこゝろなぐさむるよすがともならんとかんがへたので、わたくし兩人ふたり引連ひきつれて、此時このときばんにぎはしくえた船首せんしゆかたうつした。
みづたぎちけむ因縁よすがも知らずあしびきの山の奥より石原の見ゆ
つゆじも (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
従って進歩の所縁よすがとなるべき関係以外は、全然その存在を認められない。かのいたずらに地上生活を陰惨いんさんならしめ、いたずらに魂の発達を阻害する人為的束縛は、肉体の消滅と同時に、跡方もなく断絶する。
人は大いなる悲嘆に沈む縁因よすがとなり、医し難い後悔に身悶えせねばならぬであらう、それゆゑに、鬱積した長い吐息を噛み殺して鈍く白々と顔を背ける沈黙である。
竹藪の家 (新字旧仮名) / 坂口安吾(著)