“よしきり”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
行々子50.0%
剖葦12.5%
葭切12.5%
葦切10.0%
剖蘆2.5%
葦剖2.5%
葦雀2.5%
葭剖2.5%
葭原雀2.5%
行行子2.5%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
その中からけたたましく行々子よしきりの聲が騷ぎ立てる。何ものかの警告を與へるやうに、今まで默つてゐたものが不意に目を醒ましたやうに。
霧の旅 (旧字旧仮名) / 吉江喬松(著)
畑では麦が日に/\照って、周囲あたりくらい緑にきそう。春蝉はるぜみく。剖葦よしきりが鳴く。かわずが鳴く。青い風が吹く。夕方は月見草つきみそうが庭一ぱいに咲いてかおる。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
城沼、多々良沼など、館林地方の平野の水には、蘆萩ろてきの間に葭切よしきりが鳴いて初夏の釣遊が忘れられぬ。
水の遍路 (新字新仮名) / 佐藤垢石(著)
そこに葦切よしきりがかしましくいてゐるこゑが今僕の心によみがへつて来ることも出来た。
念珠集 (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
油のやうな大河の流れに六月の碧空が映る時、燕は軽やかな翅を羽叩いていのちの凱歌かちうたをたゝへてゐる。蘆の間の剖蘆よしきりも、草原の牝牛もいのちの信愛に輝けるいたいけな眼を瞬いてゐる。
沈黙の扉 (新字旧仮名) / 吉田絃二郎(著)
葦剖よしきりう懸けたつぺな」
筑波ねのほとり (旧字旧仮名) / 横瀬夜雨(著)
葦雀よしきりが鳴きます。町家や工場の眺めに遠ざかるほど沼は広くなって来ます。水鳥のかいつむりがみよしの方に、暢達な水の世界からのご機嫌伺いのように潜っては水面に小さな黒い頭をもたげます。
生々流転 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
棹かすむるは葭剖よしきり
花守 (旧字旧仮名) / 横瀬夜雨(著)
岸から船を離して艪を漕いで中洲の蘆間に入ったのを、誰も見ている者は無かったが、喫驚びっくりしたのは葭原雀よしきりで、パッタリ、鳴く音を留めて了った。
悪因縁の怨 (新字新仮名) / 江見水蔭(著)
其処には一帯に楊柳の若木が茂つてゐる。私達は舫から上がつて楊柳の中に入つたが、小鳥が驚いて幾羽も飛び立つた。その鳴く声を聞くと我国の行行子よしきりである。