“やみ”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:ヤミ
語句割合
50.6%
30.2%
暗夜4.8%
暗黒3.3%
暗闇2.9%
闇黒2.5%
1.9%
闇夜1.0%
0.5%
夜闇0.4%
暗中0.4%
黒暗0.3%
闇中0.3%
夜陰0.1%
宵暗0.1%
晦冥0.1%
0.1%
0.1%
闇裏0.1%
黒闇0.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
とりあえずやみの中を駅前の交番まで辿たどりついてきいてみたが「さあ、今頃になって宿は無理でしょうな」と巡査は極めて冷淡である。
I駅の一夜 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
と両手に襟を押開けて、仰様のけざま咽喉仏のどぼとけを示したるを、謙三郎はまたたきもせで、ややしばらくみつめたるが、銃剣一閃いっせんし、やみを切って
琵琶伝 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
錠でも外すような音がいよ/\耳につきますから、またそっと伸あがって木戸のあたりをすかして見ますると、暗夜やみ判然はっきりとは分りませんが、なんだか白いふわり/\としたものが見えました。
いたずら歳月としつきを送ッたを惜しい事に思ッているのか? 或は母の言葉の放ッた光りに我身をめぐ暗黒やみを破られ、始めて今が浮沈の潮界しおざかい
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
もし当人が秘密にして姑息な方法で治そうとしていたら、可哀想に一生を暗闇やみに葬らなくてはならないのでした。恐しいことです。
四面楚歌そかのドイツのスパイだから、たちまち闇黒やみの中で処分されてしまうという段取りで、一度密偵団の上長じょうちょう白眼にらまれたが最後、どこにいても危険は同じことだ。
戦雲を駆る女怪 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
ともなふどち可笑をかしがりて、くわくらん(霍乱)の薬なるべしと嘲笑あざわらひ候まま、それがし答へ候ははくらん(博覧)やみが買ひ候はんと申しき。
芭蕉雑記 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
兎角とかくするほどあやしふねはます/\接近せつきんきたつて、しろあかみどり燈光とうくわう闇夜やみきらめく魔神まじん巨眼まなこのごとく、本船ほんせん左舷さげん後方こうほうやく四五百米突メートルところかゞやいてる。
雪吹ふゞき其日のくれやみ次日つぎのひ晴天せいてんなりければ近村きんそんの者四五人此所をとほりかゝりしに、かの死骸しがい雪吹ふゞきうづめられて見えざれども赤子あかご啼声なくこゑを雪の中にきゝければ
根岸の里を物さびしい夜闇やみおかしはじめたころ、片里が住居を打立った三挺の駕籠があって、上野山下を飛ぶがごとく、切通しから湯島台へと上ってゆき、天神のほと
艶容万年若衆 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
婀娜あだな声、暗中やみ留南奇とめきがはっと立つ。衣摺きぬずれの音するすると、しばらくして、隔てのふすまと手を掛けた、ひらめく稲妻、輝く白金プラチナ、きらりと指環の小蛇を射る。
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
地は定形かたちなく曠空むなしくして黒暗やみわだの面にあり
夜の讃歌 (新字旧仮名) / 富永太郎(著)
「ハッ、拙者は、もうこれにて……竜泉寺のとんがり長屋とかへ——闇中やみに、そういう話し声が聞こえました」
丹下左膳:03 日光の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
電光いなびかりのたびにちらりと見える甚右衛門の影と、互いに前後に呼び合う声とを頼りに、八丁堀合点長屋を先刻出た藤吉勘次彦兵衛の三人は、風と雨と神鳴りとが三拍子揃って狂う丑満うしみつ夜陰やみを衝いて
『近代詩歌』の四月号に彼の詩『鍋焼うどん』といふのがあり宵暗やみの都市に親子の貧しい、うどん売子の熱いアルミニュームの鍋に
そして彼は最後に言う「我は暗き地、死のかげの地にかん、この地は暗くして晦冥やみに等しく死の蔭にして区別わかちなし、かしこにては光明ひかり黒暗くらやみの如し」
ヨブ記講演 (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
詛ひしより彼輩一年の間踊りて少しもやみ得なんだ(Henri Estienne,‘Appologie pour Hérodote,’ n. e., Paris, 1879, tom. ⅱ, p. 79)
詛言に就て (旧字旧仮名) / 南方熊楠(著)
山狩やまがりは、ますます大がかりになっていった。しかしかんじんの怪しい機械人間は、どこへ行ったものか、その夜のやみとともに姿を消してしまった。
超人間X号 (新字新仮名) / 海野十三(著)
沢の蛍は天に舞ひ、闇裏やみおもひは世に燃ゆるぞよ、朕は闇に動きて闇に行ひ、闇に笑つて闇にやすらふ下津岩根の常闇とこやみの国の大王おほぎみなり、正法しやうぼふの水有らん限は魔道の波もいつか絶ゆべき
二日物語 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
明るい戸外から来た眼が、しばらくすっかりくらんで、黒闇やみに慣れるまでにかなりのまがある。
つづれ烏羽玉 (新字新仮名) / 林不忘(著)