“もみじ”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
紅葉78.5%
緋葉4.5%
4.5%
錦葉3.4%
黄葉2.8%
朱葉2.3%
1.1%
紅楓1.1%
楓樹0.6%
楓葉0.6%
霜葉0.6%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
人々のすがたはみな、紅葉もみじびたように、点々の血汐ちしおめていた。勇壮といわんか凄美せいびといわんか、あらわすべきことばもない。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
少時しばらくすると、此のひでりに水はれたが、碧緑へきりょくの葉の深く繁れる中なる、緋葉もみじの滝と云ふのに対して、紫玉は蓮池はすいけみぎわ歩行あるいて居た。
伯爵の釵 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
松やもみじなどの庭木にくるまれているため、まだこの一棟には、たいして火が廻っていなかったのが、せめてもの僥倖ぎょうこうでした。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
迎うるごとく、送るがごとく、窓にもゆるがごとく見えめた妙義の錦葉もみじと、蒼空あおぞらの雲のちらちらと白いのも、ために、べに白粉おしろいよそおいを助けるがごとくであった。
革鞄の怪 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
落葉はいまだ三分の一にも達しない、光るばかり黄葉もみじを薄暗い空気でつつんだ趣き、あかるいようでも物の判らぬ夢のようの感じだ、いやどうしても適当の形容語が出来ない
八幡の森 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
御前おんまえあわいげんばかりをへだつて其の御先払おさきばらいとして、うちぎくれないはかまで、すそを長くいて、静々しずしずただ一人、おりから菊、朱葉もみじ長廊下ながろうかを渡つて来たのはふじつぼねであつた。
妖魔の辻占 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
甘い汁を孕んだ、優しいもみじはすらりと立って
すぐに晴れようと、ロハ台に腰を掛けた、が、その上におおい掛った紅楓もみじの大木の美しさ。色はおもてを染めて、影が袖にとおる……れるどころか、次第に冷い雨脚から、三人を包んで、しずくも落さない。
卵塔場の天女 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
そまの入るべきかたとばかり、わずかに荊棘けいきょくの露を払うて、ありのままにしつらいたる路を登り行けば、松と楓樹もみじの枝打ち交わしたる半腹に、見るから清らなる東屋あずまやあり。
書記官 (新字新仮名) / 川上眉山(著)
まことに人間の一生は春の花、秋の楓葉もみじ朝露ちょうろ夕電せきでん、古人すでにいッたが、今になッてますますさとる。
初恋 (新字新仮名) / 矢崎嵯峨の舎(著)
お珊が黙って、此方こなたから差覗さしのぞいて立ったのは、竜田姫たつたひめたたずんで、霜葉もみじの錦の谿たに深く、夕映えたるを望める光景ありさま。居たのが立って、入ったのと、奴二人の、同じ八尺対扮装ついでたち
南地心中 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)