“ふけ”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:フケ
語句割合
86.8%
雲脂3.5%
2.5%
2.1%
普化1.2%
頭垢0.9%
富家0.5%
0.5%
0.4%
夜更0.2%
老化0.2%
膚垢0.2%
0.2%
逃亡0.2%
0.2%
雪脂0.2%
頭花0.2%
髪垢0.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
もちろん食通というほど料理の趣味にふけるような柄でもなかったが、均平自身は経済的にもなるべく合理的な選択はする方であった。
縮図 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
私の頭の雲脂ふけを落したり、いたりしてくれた上に、「少しお頭を拝借させて下さい」と、水油を少し附けて、丸髷まるまげに結ってくれました。
鴎外の思い出 (新字新仮名) / 小金井喜美子(著)
ふかうなつちや逆旋毛さかさつむじてるてえでりつけねえぢやなんぼ大儀こええかよなあ、そんだがいまぢや、われはうれよりふけえつくれえだなんておとつゝあにやはれんのよ
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
早めて歩行あゆめども夏の夜のふけやすく早五時過いつゝすぎとも成し頃名に聞えたる坂東太郎の川波かはなみ音高く岸邊きしべそよあしかや人丈ひとたけよりも高々と生茂おひしげいとながつゝみ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
下総しもうさの一月寺、京都の明暗寺と相並んで、普化ふけ宗門の由緒ある寺。あれをあのままにしておくのは惜しいと、病床にある父が、幾たびその感慨を洩らしたか知れない。
大菩薩峠:26 めいろの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
胡麻塩頭ごましおあたまの中へ指を突っ込んで、むやみに頭垢ふけを掻き落す癖があるので、むかいの間に火鉢ひばちでも置くと、時々火の中から妙なにおいを立てさせて、ひどく相手を弱らせる事があった。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
道を境に左は死刑人と行倒ゆきだうれの人をうずめ、右は貧乏人の塚を集め、両方ともそれからそれへと段々に土を盛り上げ、さながら富家ふけの祝いの饅頭を見るようである。
(新字新仮名) / 魯迅(著)
一子正太郎なるもの農業なりはひいとふあまりに、酒に乱れ色にふけりて、父が一八おきてを守らず。
素面しらふで居る時は、からもう元気の無い人で、言葉もすくなく、病人のやうに見える。五十の上を一つか二つも越したらうか、年の割合にはふけたといふでも無く、まだ髪は黒かつた。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
この句には「夜更ふけて帰る時に蝋燭なし、亭坊の細工にて火とぼす物でかしてわたされたり、むかし龍潭りゅうたん紙燭しそくはさとらんとおもふも骨をりならんとたはぶれて」
古句を観る (新字新仮名) / 柴田宵曲(著)
なんでも縫紋ぬいもんの羽織なんか着込んで、髪をこう丸髷まるまげなんかに結んで、ちょっと老化ふけづくりだったそうですが、これがその、例によって型通り
あやつり裁判 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
この間も縁側で園田の膚垢ふけを取ってやっていると、あの人がそばへ来て、冷やかし半分厭味いやみを言ったりするの。
仮装人物 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
……ふけるならお前らだけで逃てくれ。おれは、この座敷を動かねえんだ
顎十郎捕物帳:20 金鳳釵 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
したのだろう。それで野郎、逃亡ふけたのだな
入給いれたまひては如何いかゞもつとも外に男の子も御在おはさぬ事ゆゑ熊殿くまどの年のふけぬうちに聟養子むこやうしをなし持參ぢさん金子きんすを以て山方やまがた問屋とひやかり償却つぐなひくらし方もを付て身上しんしやう
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
雪脂ふけを掻くような粉雪が、天候を全く雪の日と定めたらしく引緊って感じられて来たあたり四面の凸所に白く積ってまいります。
生々流転 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
やや長く伸びた髪、肩先にとまつてゐる頭花ふけ、随分ぢぢむさい顔なり姿なりだなと卓の向うにめてある鏡を見ながら礼助は思つた。
曠日 (新字旧仮名) / 佐佐木茂索(著)
独語ひとりごつところへ、うッそりと来かかる四十ばかりの男、薄汚うすぎたな衣服なり髪垢ふけだらけの頭したるが、裏口からのぞきこみながら、おつつぶれた声でぶ。
貧乏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)