“ひん”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:ヒン
語句割合
35.9%
35.5%
13.4%
3.1%
品格2.7%
2.7%
1.1%
1.1%
1.1%
品位0.8%
0.8%
0.4%
0.4%
0.4%
0.4%
0.4%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
わしはあの優雅ゆうがみやこの言葉がも一度聞きたい。あの殿上人てんじょうびと礼容れいようただしい衣冠いかんと、そして美しい上﨟じょうろうひんのよいよそおいがも一度見たい。
俊寛 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
家が破産にひんして昔なら身売奉公みうりぼうこうでもしなければならぬ場合に、備えるような教育ばかりを与えたがり、また受けたがることである。
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
物のすえたしめっぽいにおいとともに、四六時中尖った空気が充満して、長屋の住民はどれもこれも、みんなひんゆえのけわしい顔——。
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
そのために二つの獣が同じものになるわけには行かない。名は実のひんというのはこういう意味である。
狸とムジナ (新字新仮名) / 柳田国男(著)
次の間の長火鉢ながひばちかんをしながら吉里へ声をかけたのは、小万と呼び当楼ここのお職女郎。娼妓おいらんじみないでどこにか品格ひんもあり、吉里には二三歳ふたつみッつ年増としまである。
今戸心中 (新字新仮名) / 広津柳浪(著)
主人ははしとも楊枝ようじとも片のつかないもので、無雑作むぞうさに饅頭を割って、むしゃむしゃ食い始めた。宗助もひんならった。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)
ごく軽くて、滑々すべすべして、いい手触りだ。ひんやりとして……少し気味がわるい……何だか神秘な感じのするこの眠っている兇器は、短刀なんかとちがって、危険が外に顕われていない。
ピストルの蠱惑 (新字新仮名) / モーリス・ルヴェル(著)
仲たがいさせるまでは決して帰って来るな。でないとお前たちの生皮なまかわひんむいでしまうぞ。
イワンの馬鹿 (新字新仮名) / レオ・トルストイ(著)
汝は世々東海のひんにいて、家祖みな漢朝の鴻恩こうおんをこうむり、汝また、はじめ孝廉こうれんにあげられてちょうに仕え、さらに恩遇をたまわりてようやく人とる。
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
品位ひんのいい容貌、優雅な物越し、附添いの老婦人の態度などから推して、彼女はどうしても身分のある家の令嬢に違いないと、私はひとり極めにしてしまった。
日蔭の街 (新字新仮名) / 松本泰(著)
銘々が自分の娘をひんだの夫人だのというものにして自分の血縁を天皇に立てようと企むに至って、相続のたびに、否、常に相続をめぐって、お家騒動の絶え間なき連続のようなものだ。
龐涓はうけんすでつかへ、惠王けいわう將軍しやうぐんるをて、みづか以爲おもらへく(一五)のう孫臏そんびんおよばずと、すなはひそかに((人ヲシテ))孫臏そんびんさしむ。ひんいたる。
ひん(一四)阿鄄あけんあひだうまる。ひんまた孫武そんぶ後世こうせい子孫也しそんなり孫臏そんびんかつ龐涓はうけんとも兵法へいはふまなぶ。
呉江ごこう邑丞ゆうじょう鞏徳きょうとく蘇州府そしゅうふの命を以て史彬が家に至り、官を奪い、かつ曰く、聞く君が家建文けんぶん皇帝をかしずくと。ひん驚いて曰く、全くそのこと無しと。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
知らず応文禅師おうぶんぜんじ如何いかんの感をせるを。すなわひんとゝもに江南に下り、彬の家に至り、やがて天台山てんだいさんに登りたもう。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
朋友死してる所なければ我がもとにおいてひんせよという。
孔子 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
余ノ詩ニオケルヤもとヨリ遊戯ノミ。人生ハ寄ルガ如キナリ。唯意ニ適スルヲ貴ブ。ひんならヒ臭ヲフニ何ゾ必シモ抵死ていしセンヤ。ソレ詩ノ道タルヤ切実ヲ美ト為ス。
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
黒橇くろそりや、荷馬車や、徒歩の労働者が、きゅうにおりから放たれた家畜のように、自由に嬉々として、氷上をすべり、ひんぱんに対岸から対岸へ往き来した。
国境 (新字新仮名) / 黒島伝治(著)