“ひら”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:ヒラ
語句割合
21.9%
14.2%
13.5%
11.4%
11.2%
9.2%
3.8%
1.6%
1.5%
比良1.5%
1.3%
1.2%
0.9%
0.7%
0.6%
展開0.4%
0.4%
0.4%
0.4%
0.3%
0.3%
0.2%
0.2%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
解剖0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
平椀0.1%
平等0.1%
0.1%
披瀝0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
眼閃0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
谿0.1%
0.1%
0.1%
開催0.1%
開封0.1%
開山0.1%
開店0.1%
開覚0.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
で、露子つゆこは、そんなくにへいってみたいものだ。どんなにひらけているうつくしいくにであろうか。どんなにうつくしいひとのいるところであろうか。
赤い船 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そう云いながらひらいたのを見ると、いつかせがまれて貸与えた翡翠の文鎮であった。お石は平之丞の熱い眸子を頬笑みながら受けた
日本婦道記:墨丸 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
「そりゃ今までの義理があるから、そう子供の使のように、藤尾がいやだと申しますから、ひらに御断わり申しますとは云えないからね」
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
さっと振り上げられた手には短劒がひらめいた。と発止!打ち下された。激しい痛みを肩に覚えて、少年は思わず握った手をゆるめる。
耕地が一面に向うへひらけて、正面に乙女峠が見渡される……この荒庭のすぐ水の上が、いまもうでた榎の宮裏で、暗いほどな茂りです。
半島一奇抄 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
近頃になっては、昭和五年に世界各国は金禁止に伴って関税障壁を競い出した。鼈長のひらきかけた鼈甲製品の販路もほとんど閉された。
(新字新仮名) / 岡本かの子(著)
「そんな理解のない人が中学校長をしているのは教育上面白くない。縁談は兎に角として、国家のためにもうひらいてやる責任があるよ」
勝ち運負け運 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
と、歯をくいしばり、腕をし、また、慷慨こうがいの気を新たにして、式終るや、万歳の声しばし止まず、ために、天雲もひらけるばかりであった。
三国志:03 群星の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
其中に、一円の金貨が六ツか八ツも有升ありましたがお祖父ぢいさまはやがて其ひとつをとりいだして麗々とわたしの手のひらのせくださつた時、矢張冗談じようだんかと思ひました。
黄金機会 (新字旧仮名) / 若松賤子(著)
所謂近江八景は「比良ひらの暮雪」のほかは、多く湖南に屬する地點を撰んで名附けてあるが、今日の如く西洋文明の利器にけがされない時代には
湖光島影:琵琶湖めぐり (旧字旧仮名) / 近松秋江(著)
二寸も突込つきこもうと云うには非常の力を入れて握るから二ツの脚が一ツにるのサ(大)一ツになっても穴は横にひらたく開く筈だ
無惨 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
背筋せすじの通った黄なひらが中へ中へと抱き合って、真中に大切なものを守護するごとく、こんもりと丸くなったのもある。松の鉢も見える。
野分 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
向うづけに屋根裏高き磔柱はりつけばしらいましめられて、の下ひらきてひとの前に、槍をもて貫かるるを。これに甘んずる者ありとせむか、その婦人おんないかなるべき。
照葉狂言 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
車外しやぐわい猛獸まうじうは、る/\うち氣色けしきかわつてた。すきうかゞつたる水兵すいへいは、サツと出口でぐちとびらひらくと、途端とたん稻妻いなづまは、猛然まうぜんをどらして、彼方かなたきし跳上をどりあがる。
某大家が即ち其であった。だから、人生を論じ、自然を説いて、微をひらき、幽をひらく頭はあっても、目前で青二才の私が軽蔑しているのが、先生にはついに見えなかったのだ。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
あの場所の景色とちがうところは、あそこでは、塚と林との彼方むこうが、広々と展開ひらけた野原だったのに、ここでは、土塀が、灰白はいじろく横に延びているだけであった。
血曼陀羅紙帳武士 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
地味ちみの痩せをそのまま姿にしているひょろ長い松だ。——その木陰に、ちらと、猩々緋しょうじょうひ袖無そでなし羽織のすそがひらめいていた。
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
もともとこの病院が、武蔵野特有の雑木林の中に、新しくひらかれて建てられたものであるため、人里離れた広漠たる面影が、まだ取り残されてゐた。
間木老人 (新字旧仮名) / 北条民雄(著)
我見しに、かの光の奧には、あまねく宇宙にひらとなりて分れ散るもの集り合ひ、愛によりてひとつまきつゞられゐたり 八五—八七
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
知らせもしないのに、今日来るのを知って、出迎でむかえに出たと云って、手にすがって、あつい涙で泣きました。今度は、すずしい目をひらいても、露のみあふれて、私の顔は見えない。……
甲乙 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
山のおじが雲からのぞく。眼界濶然かつぜんとして目黒にひらけ、大崎に伸び、伊皿子いさらごかけて一渡り麻布あざぶを望む。
白金之絵図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
征掠せいりゃく、野荒し等に定法あり、規律至って正しく用心極めて深し、その住居は多く懸崖けんがいひらけたる間にあり、牝牡老若の猴の一部族かかる山村より下るに
「豪い!」といいさま、小紋縮緬こもんちりめんで裏が緞子どんすおなじく薄ッぺらな羽織をひらりとねて、お納戸地の帯にぐいとさした扇子を抜いて、とんと置くと、ずっと寄って、紙幣を請取り
湯島詣 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
頼氏では此年五月さく杏坪きやうへいが七十九歳で広島に歿した。わたくしは其集の末巻まつくわんひらいて見た。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
歡樂よろこび盡きぬ種子たねこそ常花とこはなひらけ。
独絃哀歌 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
弱いものいうたら、しみしんしゃくもさしゃらず……毛をむしる、腹を抜く、背をひらく……串刺くしざしじゃ、ししびしおじゃ。油で煮る、火炎ほのおで焼く、きながらなますにも刻むげなの、やあ、殿。
吉原新話 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
昼は肴屋さかなや店頭みせさき魚骨ぎょこつを求めて、なさけ知らぬ人のしもと追立おいたてられ。或時は村童さとのこらかれて、大路おおじあだし犬と争ひ、或時は撲犬師いぬころしに襲はれて、藪蔭やぶかげに危き命をひらふ。
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
……これが風をはらんで空に舞いあがって行くのを見ていると、なんとなく気宇がひらけて愉快なものです
顎十郎捕物帳:07 紙凧 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
「さ、そのしらッこい、あぶらののった双ももを放さっしゃれ。けだものは背中に、鳥は腹に肉があるという事いの。腹からかっしゃるか、それとも背からひらくかの、」と何と、ひたわななきにわなな
神鷺之巻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
人の身体からだは形が見えます。手足胴体触ればわかるよ。五臓六腑も解剖ひらけば見えます。打診、聴診、エッキス光線。ピルケ反応、血液検査と。数をつくした診察道具じゃ。たとい何やら解らぬ病気や。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
材木のいかだは、堀の中にも、水が見えないほど浮いていた。そこから二、三町先のはずれはもう海で、闇の中に、うしおの白いひらめきだけしか見えはしない。
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
南に面したよくかわくひら小麦藁こむぎわら日陰ひかげになるほうはかやとか、ていの字形の屋根の谷になる部分には木や瓦を当てるとか、場所によって使うものをちがえ、または始めから材料を混合して
母の手毬歌 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
母はなり振りかまわず料理手になり、しまを相手に、この魚を刺身にしてみたり、塩焼にしてみたり、沢山獲れた場合にはひらいて大きな干物を拵えて、父の部屋の二階の窓まで釣って干しました。
生々流転 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
胸乳むなぢのふくらみひらむまでに
泣菫詩抄 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
その擲ぐるのはすべてひらたい竹で、子供の左の手の平を三十位びゅうびゅうと擲ぐるのです。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
幸「左様そんなに這入るから悪いや……お平椀ひらに奇妙な物が這入ってるぜ」
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
そこで首里の方では島尻しまじり地方から来た連中を真和志まわし平等ひらに置き、中頭なくがみ地方から来た連中を南風はえの平等に置き、国頭くんじゃん地方から来た連中をにしの平等に置き
ユタの歴史的研究 (新字新仮名) / 伊波普猷(著)
土をひらさかひとほくす云々。
披瀝ひらいてそれを陰蔽いんぺいするのにはあまりにかれ放心うつかりとさせたのであつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
秀吉は、うながさるるまま、すぐひらいて、読み下していたが、そのあいだ幾度となく、眼をあかくし、まぶたを指でぬぐい、ついにはしばらくおもてをそらして、一気に読み終ることができなかった。
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
しょうはなて、そうすれば、うおし、波をひらいて去らん、というのを微吟びぎんして、思わず、えりにはらはらと涙が落ちる。
春昼 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
これは庭園にえられてある常緑の花木で衆花既に凋謝ちょうしゃした深秋の候美花をひらくからすこぶる人々に愛好せられている。
植物記 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
私が其處から再び出て來たときには、家々は坂の上にひらめき、緑色の葡萄畑は暗く浪打ち、空は廣びろとして靜けさに充ちてゐました。鐘が鳴りました。
はてしなき今昔こんじやくの感慨に、瀧口は柱にりしまゝしばし茫然たりしが、不圖ふといなづまの如く胸に感じて、想ひ起したる小松殿の言葉に、ひそみし眉動き、沈みたる眼閃ひらめき
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
眼をひらいてじっと空をにらんでいた。
城中の霜 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
そのくちびるひらききつて
山羊の歌 (新字旧仮名) / 中原中也(著)
三九郎貞昌は、すぐひらいて、一読していたが、しきりとその手紙を鼻にあてていでいた。
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いわんや愚直な加十のことだから、テもなくこの陰謀に引ッかかってしまった。俄に天が谿ひらけたような気がする。うまくやってのけろ、刑務所へ行かなくても済むぞ。
魔都 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
富士川の渡舟わたしにかかると、愈〻いよいよ追い越されたひらきは取り戻せなくなった。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
くつわを執っていた子貢が、いまだ子路を見ずしてこれを褒める理由を聞くと、孔子が答えた。すでにその領域に入れば田疇でんちゅうことごとく治まり草莱そうらい甚だひら溝洫こうきょくは深く整っている。
弟子 (新字新仮名) / 中島敦(著)
部落コホンの土人は想像したより彼らに敵意を示さなかった。貯蔵ためていた食料を取り出して来て惜し気もなく彼らと交換した。そして一行を歓待して土人流の宴会を開催ひらいてもくれた。
沙漠の古都 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
返事も滅多に出さなかつたので、近頃妹の音信たよりもずゐぶん遠退いてゐた。圭一郎は今も衝動的に腫物はれものに觸るやうな氣持に襲はれて開封ひらくことを躊躇ちうちよしたが、と言つて見ないではすまされない。
業苦 (旧字旧仮名) / 嘉村礒多(著)
たれが苦行して開山ひらいたか、あたらこの一刹も、弘法大師を売り物に御夢想ぐすりの看板をかけられ、狐狸のすむ以上な人間の巣となって、今は、不浄役人の駆けずり廻る間に
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
よしよし面白い面白い、ひとつこいつの手にいて、殺人ひとごろし請負業を開店ひらいてやろう。天変地妖相続き、人心恟々天下騒然、食える野郎と食えぬ野郎と、変にひらきがあり過ぎる。
前記天満焼 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
仏教の最終の目的は人々が最上の智慧を開覚ひらいて最も完全な人格を完成するのに在るので、現世上の救難授福はその目的からは第二義的のものでありますが
仏教人生読本 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)