“ひとごみ”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
人込42.6%
人混21.3%
群集8.5%
人群4.3%
人混雑4.3%
群衆4.3%
雑踏4.3%
人籠2.1%
人混雜2.1%
人雑沓2.1%
混雑2.1%
雑沓2.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
女は人込ひとごみのなかを谷中やなかの方へあるした。三四郎も無論一所にあるき出した。半町ばかりた時、女はひとなかで留つた。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
そのうちにがんりきは、そーっと後ずさりをして人混ひとごみまぎれて扉のわきからこの席を抜け出でようとすると、上人が
大菩薩峠:07 東海道の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
乗客はいづれもらちの中へと急いだ。さかん黒烟くろけぶりを揚げて直江津の方角から上つて来た列車は豊野停車場ステーションの前で停つた。高柳は逸早いちはや群集ひとごみの中を擦抜すりぬけて、一室のを開けて入る。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
不意をくらった人群ひとごみ総崩そうくずれに浮き足だって散らかっていった。
うつり香 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
が、矢玉と馳違はせちがい折かさなる、人混雑ひとごみの町へ出る、と何しに来たか忘れたらしく、ここに降かかる雨のごとき火の粉の中。袖でうけつつ、手で招きつつ
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
そして、睡不足ねぶそくらしい充血した眼をくしやくしやさせて群衆ひとごみのなかに衝立つゝたつてゐる所は、誰が見ても物価騰貴の今日この頃、何をさしいても増給の必要がありさうな男に思はれた。
由三は此のくわん門を通り抜けて、森川町から本郷通りへブラリ/″\進む。雑踏ひとごみなかちよつと古本屋の前に立停ツたり、小間物店や呉服店をチラとのぞいて見たりして、いつものやうに日影町ひかげちようから春木町に出る。
昔の女 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
この人籠ひとごみから飛び出してしまいましょう。4025
菩提樹のまわりはうから人籠ひとごみ
洋杖ステツキ紙入かみいれと、蟇口がまぐち煙草入たばこいれを、外套ぐわいたうした一所いつしよ確乎しつかおさへながら、うや/\しく切符きつぷ急行劵きふかうけん二枚にまいつて、あまりの人混雜ひとごみ、あとじさりにつたるかたちは、われながら、はくのついたおのぼりさん。
大阪まで (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
と囁やき交しながら雪崩なだれ傾いて行く人雑沓ひとごみ塵埃ほこりいきれ……。
名娼満月 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
お春は若旦那に手を引いて貰って、ようやくこの混雑ひとごみからのがれた。
家:01 (上) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
あまり後ろから押し付けられる息苦しさに、時々背伸びをしようとしたり、肩を揺す振らうとして見るが、立錐の余地もない雑沓ひとごみで、殆んど身動きが出来ぬ。まるで枷を篏められたやうである。
Dream Tales (新字旧仮名) / 谷崎潤一郎(著)