“ひったく”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
引奪51.5%
引手繰33.3%
奪取6.1%
3.0%
強奪3.0%
褫奪3.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
寄せて来た裸虫も、がんりきを取って押える目的と、一つにはその青地錦を引奪ひったくろうとする目的と二つがあるように見えました。
大菩薩峠:14 お銀様の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
自分で自分を思いやると、急に胸が込上げて来て、涙は醜い顔を流れるのでした。やがて、思いついたように馬の傍へ馳寄かけよって、力任せに手綱を引手繰ひったくりましたんです。
藁草履 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
と言って、忠公の小刀を奪取ひったくった。此処までは良かったが、忠公のは生憎水兵小刀である、ちいさいのなら訳はないが、水兵小刀は大きいから困った。口へ入れたなり動きが取れない。
いたずら小僧日記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
佐平はこう言って、雄吾から猟銃をひったくった。二人の若者達は駐在所へ駈け出した。
熊の出る開墾地 (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
「こう、情無いことを謂いなさんな。わっちゃこんなものでもね、日本が大の贔屓ひいきさ。何の赤髯あかひげ、糞でもくらえだ。ええその金時計はすぐ強奪ひったくって持って来やす。」
金時計 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
鶴さんは、ちらと此方こっちを見たが、黙ってまたペンを動かしはじめた。お島はいらいらしい目をすえて、じっと見つめていたが、たちまち床から乗出して、その手紙を褫奪ひったくろうとした。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)