“なまこ”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:ナマコ
語句割合
海鼠87.5%
海参3.4%
生粉1.1%
生麪1.1%
亞鉛1.1%
半円鋳1.1%
1.1%
生鼠1.1%
生鼠壁1.1%
鉛鋳1.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
僕も其の頃、「中學世界」に「第一人者」と云ふのと、「海鼠なまこ」と云ふのを書いた。多分江口渙氏の仲介であつたやうな気がする。
世に出る前後 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)
燕の巣、さめひれした卵、いぶした鯉、豚の丸煮、海参なまこあつもの、——料理はいくら数へても、到底数へ尽されなかつた。
南京の基督 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
いずれにしても生粉なまこ臼挽うすひきが普及し、したがって粉の貯蔵が可能になるまでは、是は相応に面倒な調理法であった。
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
石の挽臼ひきうすひろく行われるまでは、麦類はかえって生粉なまこには向かず、主としては屑米くずまい・砕け米等の飯にはならぬもの、次には蕎麦そばなどが盛んに粉にはたかれていた。
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
しょうがパンかお菓子をつくった後の容器から、ナイフで生麪なまこの幾滴かをすくい出し、それを熱いストーヴの上に押しつけて、小さなお菓子をつくることの愉快さを思い出す人は
図490は、人々が生麪なまこ様のものを、かきまぜている所である。次にそれに米の粉をふりかけ、大きな木の槌で打つ。非常にベタベタしているので、槌がへばりついて了うこともある。
物置きの 亞鉛なまこの屋根に
短歌集 日まはり (旧字旧仮名) / 三好達治(著)
それから今度は金物屋に行って鉛の半円鋳なまこを六百斤ほど買集め、そっくりそのまま町外れのシロカネ屋(金属細工屋)に持って行って、これは蓬莢島ホルモサから来た船の註文ゆえ
名娼満月 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
辰の刻から飲みはじめて夜の二時比まで飲んだが、数えてみるとそれぞれ百本の酒を飲んでいた。曾はなまこのようにぐにゃぐにゃに酔っぱらって、そこに寝込んでしまった。
黄英 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
もとはやはり姻戚の阿波の藍玉屋の生鼠なまこ壁の隣に越太夫といふ義太夫の師匠が何時も気軽な肩肌ぬぎの婆さんと差向ひで、大きな大きな提燈を張り代へながら、極彩色で牡丹に唐獅子や
水郷柳河 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
竝倉のしづけき生鼠壁なまこ月夜にて鳰は寄りゆくその向うの葦に
夢殿 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
普通のうちでは真鍮の短冊を吊すところを金持だけにった思案をしたものらしい。面倒ではあろうが、この鉛鋳なまこの全部を大急ぎで小判の形に打抜いて金箔をタタキ付けてもらいたい。
名娼満月 (新字新仮名) / 夢野久作(著)