“とぎ”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:トギ
語句割合
47.2%
途切21.5%
途断6.1%
4.7%
杜絶4.2%
杜切3.7%
跡切2.8%
富来1.4%
途斷1.4%
止絶1.4%
1.4%
杜断0.9%
伽噺0.5%
断絶0.5%
中絶0.5%
吐切0.5%
杜義0.5%
研刀0.5%
間断0.5%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
私は病人のおとぎをする積りで、根気よく待っていると、やがて、彼はパッチリと目を開いた。その瞳が喜ばしげな光を放っている。
何者 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
泣きながら云うあによめの言葉は途切とぎれ途切れにしか聞こえなかった。しかしその途切れ途切れの言葉が鋭い力をもって自分の頭にこたえた。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「いえ、伍長殿。ほんとに迷ったのであります」それから声が低くなり何かくどくど言う声音であったが、声が途断とぎれると又急になぐるらしい気配がした。
日の果て (新字新仮名) / 梅崎春生(著)
あくる日になるとまた武蔵のほうから光悦に、刀のとぎや扱いについて教えを乞うと、光悦は自分の「御研小屋」へ彼を案内して
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
わるくなったとは言う条一昨年迄はと詞杜絶とぎれ、ちょうど私共が両国近辺に居りました頃は、まだ/\話の種も出来ましたが、今ではとんと指折ることも御在ません
油地獄 (新字新仮名) / 斎藤緑雨(著)
手紙は書き終らずにめたものらしく、引きいた巻紙まきがみと共に文句は杜切とぎれていたけれど、読み得るだけの文字で十分に全体の意味を解する事ができる。
すみだ川 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
その夜、藤沢古実君に、言葉が跡切とぎ跡切とぎれに、『おれはな、いかんとも疲労してしまつてなあ。余病のために、黄疸のために、まゐるかも知れん』
島木赤彦臨終記 (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
それから富来とぎ増穂ますほ剣地つるぎじ、藤浜、黒島——外浜を段々奥へ、次第に、いわは荒く、波はおどろになって、たいらは奇に、奇はけわしくなるのだそうで。……可心はこの黒島へ出たのです、穴水から。
河伯令嬢 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
幾分位いくらねむつたからぬが夢現ゆめうつゝうちつぎのやうな談話はなし途斷とぎれ/\にみゝはひる。
湯ヶ原ゆき (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
妻は、一言でも言葉を止絶とぎらせたならば彼が再び眠つてしまふことを怖れて、彼が返事をせずには居られない問ひを考へて、矢継ぎ早やに放たなければならなかつた。
F村での春 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
暇があるとぬぐいをかけたりこなを打ったりして、いつまでもあきずに眺めていた。とぎに出したりするのも好きだった。
杉内アナウンサーの声は、ぱたりと、杜断とぎれた。
空襲葬送曲 (新字新仮名) / 海野十三(著)
夢の島、絵の島、お伽噺とぎの島
夢の島、絵の島、お伽噺とぎの島
暫らく談話はなし断絶とぎれる、母親も娘も何か思案顔。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
説話はなしが些し断絶とぎれる。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
高い男は中背の男の顔を尻眼しりめにかけて口をつぐんでしまッたので談話はなしがすこし中絶とぎれる。錦町にしきちょうへ曲り込んで二ツ目の横町の角まで参った時、中背の男は不図ふと立止って
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
爺は、眼のあたりを少し赤くするようにして、息苦しい呼吸の間から、申しわけでもするように、吐切とぎれとぎれに言った。
山茶花 (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
研刀とぎの頼みをかこつけて来たわけであった。
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
話が間断とぎれると、ザザーツといふ浪の音が、急に高くなる。楠野君は、二人のあらそひを聞くでもなく、聞かぬでもなく、横になツた儘で、紙莨を吹かし乍ら、浪の穂頭を見渡して居る。
漂泊 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)