“て”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:
語句割合
36.1%
19.4%
13.7%
12.1%
3.7%
1.6%
筆蹟1.5%
1.5%
筆跡1.3%
手蹟1.2%
0.9%
0.7%
0.6%
0.6%
0.4%
0.4%
0.4%
0.3%
手段0.2%
手跡0.2%
0.2%
0.1%
0.1%
手下0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
詭計0.1%
0.1%
0.1%
上肢0.1%
両掌0.1%
中掌0.1%
0.1%
0.1%
双手0.1%
妙手0.1%
姿0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
方法0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
纎手0.1%
0.1%
耀0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
るとぞつとする。こけのある鉛色なまりいろ生物いきもののやうに、まへにそれがうごいてゐる。あゝつてしまひたい。此手このてさはつたところいまはしい。
小宰相は自身の分を紙に包み、宮へもそのようにして差し上げると、美しいお手をお出しになって、その紙でをおぬぐいになった。
源氏物語:54 蜻蛉 (新字新仮名) / 紫式部(著)
月は一庭のじゆらし、樹は一庭の影を落し、影と光と黒白こくびやく斑々はん/\としてにはつ。えんおほいなるかへでの如き影あり、金剛纂やつでの落せるなり。
良夜 (新字旧仮名) / 徳冨蘆花(著)
奔馬のまえに屈みこむ美人をき殺してゆくほど勇気のある馭者はかつてなかった。もなく、お光さんの甘い策にかかるのだった。
かんかん虫は唄う (新字新仮名) / 吉川英治(著)
見ると七人のの内真中の一人だけは黄色の着物を着たお爺さんで、あとの六人は皆空色の着物を着た十二三の男の児であった。
白髪小僧 (新字新仮名) / 夢野久作杉山萠円(著)
みなさん、たいへん簡単ながあります。もし私でおよろしかったら、業務主任さんにかわってよろこんでお話を伺いましょう。
審判 (新字新仮名) / フランツ・カフカ(著)
「なるほど、これはおばばの筆蹟にはちがいないが、そのおばばが、わが身を連れに引っ返さるべく候——と書いているのは、どうした次第か」
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
枕頭まくらもとには軍医や看護婦が居て、其外彼得堡ペテルブルグで有名なぼう国手こくしゅがおれのを負った足の上に屈懸こごみかかっているソノ馴染なじみの顔も見える。
「隱しちやいけない、お蝶を脅かした手紙は、亂暴な字ではあつたが、間違ひもなく女の筆跡だ、調べて見さへすれば、すぐわかることで」
しかし私の手蹟じゃ不味まずいから長州の松岡勇記まつおかゆうきと云う男が御家流おいえりゅうで女の手にまぎらわしく書いて、ソレカラ玄関の取次とりつぎをする書生に云含いいふくめて
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
ああすでにその炬火もいかに遠くなってることぞ! 彼はその光に道をらされてたときには、もうほとんど絶頂に達したものだと思っていた。
はばかりながら磯の安松だ、三尺高い木の上から小唄の良い喉を海の向うの房州の阿魔っ子に聴かせやりてえくらいのものだ
いづれ參上仕候とくと可申上筈御座候得共、纔なか兩日之御滯留に而、とても罷出候儀不相叶候に付、以書面申上候間、かた/″\御汲取可下候。頓首。
遺牘 (旧字旧仮名) / 西郷隆盛(著)
「やい、みんな来い、こいつ何とか今、オツな名乗りをあげやがったぜ。おれたちを相手に抜く気らしい。ひとつおのうちを見物としようじゃねえか」
宮本武蔵:04 火の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そしてその敏捷なすがたが、高い枯れ木のッぺんへよじのぼって行くのにひかれて、ついみな顔を空にしていた。
私本太平記:12 湊川帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
古い文学にある、「る」ということばからつけたもので、もちろん音で映丘えいきゅうと訓まれることは覚悟の上であった。
故郷七十年 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
小町こまちいろらふ島田髷しまだまげ寫眞鏡しやしんきやう式部しきぶさいにほこる英文和譯ゑいぶんわやく、つんで机上きじようにうづたかけれども此男このおとこなんののぞりてからずか、仲人なかうどもヽさへづりきヽながしにしてれなりけりとは不審いぶかしからずや
経つくゑ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「実のるも見む」(巻十九・四二二六)、「御船みふねかもかれ」(巻十八・四〇四五)、「櫛造る刀自とじ」(巻十六・三八三二)、「やどりする君」(巻十五・三六八八)等は
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
もし想ひ出されなかつたとしたら、嘆きは何時終るといふのだ? ゴマカルといふ手段は、私にはない。神は瞬時想起されるが、またやがても消失する。私——私の気質は、理性的ではない。
我が詩観 (新字旧仮名) / 中原中也(著)
誘いだした手紙。これが大師流のいい手跡でとても中間陸尺に書ける字じゃない。この手紙のぬしは誰だろうというんで、藤波は躍気やっきになってそいつを捜してる模様です
名主「やアこりゃアじゃア、喜右衞門、なぜ其の女を連れて来ねえか」
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
れにつてあふり/\たがんだから
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
自分の示しが足らなかったで手下の奴がとんだ心得違いをしました。
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
そういう作法や鄭重ていちょうは、暴客たちにはかえって苦手である。赤いまばらひげの中から、熊鷹くまたかのような眼をひからせている大法師が、を振って、善信の冷静を打ち砕いた。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、封の上に、藤夜叉のがいかにも幼い。
私本太平記:07 千早帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
が切れて
(新字旧仮名) / 北原白秋(著)
それが詭計だよ。往きは渡船わたしで行つて、歸りに知合の船頭に頼んで船に乘せて貰つたと言ふのが可怪しいと思はなかつたかい。
それきり自身は、この奥の書院に端坐して、むずかしい問題で頭をひねっている時の習癖くせで、碁盤を前に、独り碁……と言っても、法どおり石を置いて、攻め手守り攻究こうきゅうしているのではない。
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
「ナニ、それは、其奴そやつじゃ。泣きよると見せかけて笑いおるぞ」
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
「昨日、凾谷かんこくから来たのですが、悪者に右のを傷つけられたものですから、一緒に来られなかったのよ。ほんとに残念よ。」
阿英 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
それがひどく阿英に似ているので、嫂は珏にそういって傍へいってしらべさした。果してそれは阿英であった。珏はうれしくてうれしくてたまらないので、そのままをつかまえてはなさなかった。
阿英 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
なぜなら、元来その病は、上肢にも下肢あしにも、どちらにも片側だけに起るもので、体温は死温に等しくなり、また、脈は血管硬化のために、触れても感じないというほど、微弱になってしまうのです。
潜航艇「鷹の城」 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
平次は立上がって、いつの間に用意したか、両掌に塗っておいた鍋墨を、その男の頬から顎にグイグイとなすってやりました。たちまち変る人相——。
娯樂でも何でも心の中掌の上に持つてゐるものは、願くは最高最善のものでありたい。
努力論 (旧字旧仮名) / 幸田露伴(著)
情合いの深けえ羚羊たア、一エどんな面をしてるんでえ。でえいち、てめえのようなトンチキにつかまる羚羊なんかこのへんに一匹でもいたらお目にぶらさがるってんだ。三百法ちょうだい。
「新九郎様ッ、悪人のにおかかり遊ばすな!」
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
舷門げんもんより、檣樓しやうらうより、戰鬪樓せんとうらうより、双手げ、はたり、歡呼くわんこをあげて、いさみ、よろこび、をとりつ、濱島武文はまじまたけぶみ春枝夫人はるえふじんあまりのうれしさにこゑもなく、虎髯大尉こぜんたいゐ武村兵曹たけむらへいそう一人ひとり右鬢うびん
「ねえ、花世さん、路考ろこうの門弟の路之助ろのすけが、また新作のはやりうたを舞台でうたっているが、三絃さみせん妙手があるのか、いつみても妙だぜ」
顎十郎捕物帳:02 稲荷の使 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
そうして、それを螺旋らせん締棒しめぼうの下に押込んで、をぐるぐると廻し始める。油は同時にしぼられて床下ゆかしたみぞにどろどろに流れ込む。豆は全くのかすだけになってしまう。すべてが約二三分の仕事である。
満韓ところどころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
よく物を言ふ眼が間断ひまなく働いて、ほどけばに余る程の髪は漆黒くろい。天賦うまれつきか職業柄か、時には二十八といふ齢に似合はぬ若々しい挙動そぶりも見せる。一つにはだ子を有たぬ為でもあらう。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
みだれる雲——疾風はやての叫び——宵闇よいやみほど暗かった。時々、青白くひらめく稲妻がひとみを射、耳には、おどろおどろ、遠い雷鳴かみなりがきこえてきた。
無宿人国記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
殺したのも同じ方法だ。あのお孃さんと若黨が、御用空地で逢引して居る隙を狙つて、壁の穴で打ち合せて此方から出向き、年寄の相手が夢中になつて抱き付いて來るのを
さあ、その残暑の、朝から、りつけます中へ、端書はがきが来ましてね。——落目もこうなると、めったに手紙なんぞのぞいた事のないのに、至急、と朱がきのしてあったのを覚えています。
木の子説法 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
その女が、これも化けた一つので、くるままでこしらえて、無事に帰してくれたんです。が、こちらが身震みぶるいをするにつけて、立替たてかえの催促がはげしく来ます。
薄紅梅 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
たとえば夏のかっとりつけた庭土の上を蟻が盛に歩いているのを眺めたりしたとき、桃子の若い回想のなかに甦って来るのは、いつもうちの離れの前栽の景色にきまっていた。
夜の若葉 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
い娘がいるだアー、寄って行かっせえ 〽こぼれ松葉を手で掻き集め、コラコラ、主さ来るかとえて待つーウ……歌もうたうだア寄って行かっせえ」
血煙天明陣 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
茫々乎たる空際は歴史のじゆんの醇なるもの、ホーマーありし時、プレトーありし時、彼の北斗は今と同じき光芒を放てり。同じく彼をらせり、同じく彼れをらけり。
一夕観 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
「道服に一腰ざし。むくつけい暴男あらおとこで……戦争いくさを経つろうを負うて……」
武蔵野 (新字新仮名) / 山田美妙(著)
「あっ。……ア。……そう首を締めちゃアしゃべれといっても、何もしゃべれやしねえじゃねえか。もう何でもいっちまうから、手をゆるめてくんねえ」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
出様来でやうきやものや、伊祖いぞ大主おほぬし御万人おまんちようち頭取かしらどりちゆる者どやゆる、お万人のまぢりだに聞留ききとめれ、ムルチてる池に大蛇おほぢやとて、かぜらぬ、あめらぬ、屋蔵やぐらふきくづち、はる物作もづくり
ユタの歴史的研究 (新字新仮名) / 伊波普猷(著)
『あら、父君おとつさん單獨ひとり何處どこへいらつしやつたの、もうおかへりにはならないのですか。』と母君はゝぎみ纎手りすがると春枝夫人はるえふじん凛々りゝしとはいひ、女心をんなごゝろのそゞろにあはれもよほして、愁然しゆうぜん見送みおく良人をつと行方ゆくかた
衆目の指すところ彼は非の打ちどころのない人間で、あるとしても弱点は二つしかない。一つは妙に自分の親切にれて、酷薄粗暴の風を装うこと。
決闘 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
天八達之衢あまのやちまたに居り、その鼻長さ七咫ななあた脊の長さ七尺ななさか云々、また口尻くちわき明り耀れり、眼は八咫鏡やたのかがみの如くして、赩然てりかかやけること赤酸醤あかかがちれり、すなわちみともの神を遣して往きて問わしむ、時に八十万やそよろずの神あり
金はあっても売りがないので、みすみす食物を摂ることが出来ず、錦の衣裳をまとったまま飢え死にをした能役者もあった。
開運の鼓 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
賓娘はそれを聞くとあまえるように泣いて、連城のにすがり、連城にいかれるのを恐れるのであった。
連城 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
梅岡さんが、その上野をおともというに、いい加減に日を暮らして、夜になって、くらやみ坂へ連れかせるから、そうしたら、白薔薇の薫をあてに。
式部小路 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「いふ事あらばくいへかし。この期に及びわれを欺き、間隙すきねらふて逃げんとするも、やはかそのに乗るべきぞ」ト、いへば聴水こうべを打ちふり
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
「結構な出来だ、誰方どなたでせうな。」と独語ひとりごとのやうに言つてゐたが、暫くするとちよつと舌打をした。「一字も読めない、恐ろしく達者に書き上げたものですな。」
っさんたまにゃ菓子くれい買って来てもよかねいかい。」
落穂 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
そして先年尊氏たかうじが石浜へ追い詰められたとも言い、また今日は早く鎌倉へこれら二人が向ッて行くと言うので見ると、二人とも間違いなく新田義興のの者だろう。
武蔵野 (新字新仮名) / 山田美妙(著)