“つや”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
51.2%
光沢21.9%
通夜13.0%
4.0%
光澤3.6%
2.0%
色沢1.2%
0.8%
0.3%
艶沢0.3%
色澤0.2%
世辭0.2%
光彩0.2%
光滑0.2%
光艶0.2%
膩光0.2%
0.2%
色彩0.2%
艶冶0.2%
艶味0.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
磨きあげたような小麦色の肌、切れ長の澄みとおった双眸そうぼうつやつやと余るような髪を武家風に結った、二十ばかりの美しい女である。
明暗嫁問答 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
実際今の袈裟は、もう三年前の袈裟ではない。皮膚は一体に光沢つやを失って、目のまわりにはうす黒くかさのようなものが輪どっている。
袈裟と盛遠 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
康頼 わしはこの間も権現様に通夜つやをして祈りました。そして祈りつかれてうとうとしました。するとわしは不思議な夢を見たのです。
俊寛 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
頸窪ぼんのくぼ胡摩塩斑ごましおまだらで、赤禿げに額の抜けた、つらに、てらてらとつやがあって、でっぷりと肥った、が、小鼻のしわのだらりと深い。
白金之絵図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
如何いかにも氣易きやすく、わけのささうに、手巾ハンケチくちりながら、指環ゆびわたま光澤つやへてうつくしく手紙てがみいてわたす。
艶書 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
おもふに、ゑがける美人びじんは、ける醜女しうぢよよりもなりつたく、かん武帝ぶてい宮人きうじん麗娟りけんとしはじめて十四。たまはだへつややかにしてしろく、うるほふ。
唐模様 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
蠅取り蜘蛛といふ小さな足の短い蜘蛛は、枝のつけ根に紙の袋のやうな巣を構へて居た。鼈甲べつかふのやうな色沢つやの長い足を持つた大きな女郎蜘蛛ぢよらうぐもは、大仕掛な巣を張り渡して居た。
朝の光が涼しい風と共に流れ込んで、髮亂れ、眼凹み、皮膚のつやなく弛んだ智惠子の顏が、もう一週間も其餘も病んでゐたものゝ樣に見えた。
鳥影 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
或ものは又、見えざる糸に吊らるる如く、枝に返らず地に落ちず、つやある風に身を揉ませて居る。空に葉の舞、地の人の舞! 之を見るもの、上なるを高しとせざるべく、下なるをひくしとせざるべし。
葬列 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
この時、落葉ともつかず、すすの塊ともつかない影が、子供たちの眼に近い艶沢つやのある宵闇の空間に羽撃はばたき始めた。その飛び方は、気まぐれのようでもあり、かじがなくて飛びあえぬもののようでもある。
蝙蝠 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
見るからが人の好さ相な、丸顏に髭の赤い、デップリと肥つた、色澤つやの好い男で、襟の塞つた背廣の、もゝの邊が張り裂けさうだ。
鳥影 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
その夏休暇やすみで歸つた信吾は、さらでだに内氣の妹が、病後の如く色澤つやも失せて、力なく沈んでるのを見ては、心の底から同情せざるを得なかつた。そして慰めた。
鳥影 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
「そんだがおめえもたえしたはたらきだとえんな、かうえにたわらまでちやんとして、大概てえげえ百姓ひやくしやうぢやおめえこのにやかねえぞ、世辭つやいふわけぢやねえが」
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
室羅伐スラヴァスチ城の大長者の妻がはらんだ日、形貌かお非常に光彩つやあり、産んだ女児がなかなかの美人で、生まるる日室内明照日光のごとく、したがって嘉声かせい城邑じょうゆうあまねかった。
花の本には花よりは長い多くの光滑つやある毛があって花に添うて直立し、花を擁護しているかの様に見えるが、乾けば斜めに開くのである。
植物記 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
色が白くて目は少し小さいが、眉毛が濃い、口元が可愛らしく、髪の毛の光艶つやし、山家やまがまれな美人で
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
『酉陽雑俎』(蜈蚣むかで退治を承平元年と見てそれより六十八年前に死んだ唐の段成式著わす)三に、歴城県光政寺の磬石けいせき膩光つやしたたるがごとく、たたけば声百里に及ぶ、北斉の時
ようやく恢復したこととて、美しかった黒い毛並もつやを失って、紅梅を洩れる春のに当った由紀子の白いきめを見た拍子に、一層やつれて見えるのであった。
鼻に基く殺人 (新字新仮名) / 小酒井不木(著)
その上色彩つやがある。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
たゞ若さは、青春は、娘は、かくおのれを謎の地に伏せる間も、謎の地に伏せるほど身のうちをうす紅梅色に華やがし、かもし出す艶冶つやな電気は、相対の性に向って逸奔いつほんがって仕方がありません。
生々流転 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
猶その上にもしたゝるやうな艶味つやを持たせてやる事を知らない義男は、たゞ自分の不足な力だけを女の手で物質的に補はせさへすればそれで滿足してゐられる樣な男なのだと云ふ事が
木乃伊の口紅 (旧字旧仮名) / 田村俊子(著)