“そっくり”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
酷似34.4%
悉皆18.8%
彷彿12.5%
肖然6.3%
肖如6.3%
不残3.1%
克似3.1%
全然3.1%
全部3.1%
其儘3.1%
反身3.1%
同一3.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
やっこさん、宮岡警部に写真酷似そっくりに変装してやがった。二人宮岡警部が出来ちゃって、どっちが真物ほんものだか分らなかった。そのために遂々捕え損ったんだそうだよ
黒猫十三 (新字新仮名) / 大倉燁子(著)
僕の家でも今日料理研究のために十余品の御馳走をこしらえているからこれを悉皆そっくり持って行ってその献立中に加えよう。第一が菓子だ。君一つこの珍菓を賞翫しょうがんしてくれ給え、今出来たてだ。
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
姉は久しぶりで一緒になった弟を前に置いて、夫に向って、「まあ、捨吉の坐っているところを見てやって下さい、あれの手なぞはお父さんに彷彿そっくりです」
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
「ああ、阿母おっかのような返事をする。肖然そっくりだ、今の声が。」
国貞えがく (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「坊主、咽喉のどが乾いたろうで、水のかわりに、すきなものを遣るぞ。おお、女房おっか肖如そっくりだい。」
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
拵えて行ったものなどを不残そっくりくして、旅費と当分の小遣にも足りぬくらいの金を、すこしばかりの家財を売払って持って来た姉は、まだ乳離れのせぬちいさい方の男の子をひざにのせて
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
「恐れ多い事ながら、御上に克似そっくりの箇所も御座りまする」
備前天一坊 (新字新仮名) / 江見水蔭(著)
その間に牧羊人大願成就かたじけないと、全然そっくりその金をぬすみ得た(ハーンの『アルバニッシュ・スチュジエン』巻一)。
この近江屋さんはあたきの店でござんす。なに、証文? そんな物は知りんせんが、家屋敷なら三つ並ぶ土蔵の構え、暖簾のれんから地所まで全部そっくり抜いてられました。
団さんの兄さんは団さん其儘そっくり
ぐうたら道中記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
の人のそばに坐ると厭な心持になりますよ、そうして反身そっくりかえって煙管きせるを手の先で振廻し、落してお皿を欠いたり、鼻屎はなくそをほじくっては丸薬にしたりしてなんだか厭だよ
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
熟々つくづく視ればどこにかおもかげが似通って、水晶と陶器せととにしろ、目の大きい処などは、かれこれ同一そっくりであるけれども、英吉に似た、と云って嬉しがるような婦人おんなはないから、いささかも似ない事にした。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)