“せんせん”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
閃々44.3%
潺々18.6%
戦線7.1%
繊々5.7%
先占5.7%
躚々2.9%
閃閃2.9%
冉々1.4%
先尖1.4%
孱々1.4%
宣戦1.4%
専擅1.4%
尖々1.4%
戰線1.4%
羨涎1.4%
顫戦1.4%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
一令は一令よりしげく下れり、天下の民は、雷鳴を聞くのみならず、閃々せんせんたる電光を見たり。閃電を見るのみならず、落雷に撃たれたり。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
其処にはただ三四尺の小さな流がもとのままに潺々せんせんたるせせらぎの音を立てているだけなのに自分勝手な思いをせていた。
朴の咲く頃 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
「あなたは、この新月がお好きだそうでございますね、さきほど『長安古意』の、繊々せんせんたる初月、鴉黄あおうに上る……を口ずさんでおいでのを承りましたよ」
大菩薩峠:36 新月の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
雀も決して住居の方に、鶏見たように呑気のんきでないことは、早く巣作るものが形勝けいしょうと安全とを先占せんせんし、よっぽど遅くなってから、巣箱の店借たながりに来るのでも察せられる。
躚々せんせんとして時期も定まらぬままに過ぎて行くうち、島谷は他の縁談に方向を求め、極めて事務的な結婚をして仕舞しまつた。
蝙蝠 (新字旧仮名) / 岡本かの子(著)
既ニシテ夕陽林梢ニアリ、落霞飛鳧らっかひふ、垂柳疎松ノ間ニ閃閃せんせんタリ。長流ハ滾滾こんこんトシテ潮ハ満チ石ハ鳴ル。西ニ芙蓉ふようヲ仰ゲバ突兀万仞とっこつばんじん。東ニ波山ヲレバ翠鬟すいかん拭フガ如シ。マタ宇内ノ絶観ナリ。
向嶋 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
彼が宮を追ひてまろび落ちたりし谷間の深さは、まさにこの天辺てつぺんの高きより投じたらんやうに、冉々せんせんとして虚空を舞下まひくだ危惧きぐ堪難たへがたかりしを想へるなり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
隣に養へる薔薇ばらはげしくんじて、と座にる風の、この読尽よみつくされし長きふみの上に落つると見れば、紙は冉々せんせんと舞延びて貫一の身をめぐり、なほをどらんとするを、彼はしづかに敷据ゑて
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
私はただ近づいて来る機械の鋭い先尖せんせんがじりじり私を狙っているのを感じるだけだ。誰かもう私に代って私を審いてくれ。
機械 (新字新仮名) / 横光利一(著)
初め渋木生、えきして江邸にり、余の西遊に必らず故あらんとおもい、脱走して邸を出で余をわんと欲す。余の江戸に帰るに及んで、きたりて余の寓居に投ず。生人となり孱々せんせんたる小丈夫のみ。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
たとい嫁の血族に精神病の系統のあることが後に公判廷で立証されたにしても、姑の不法な言いがかりが専擅せんせん苛酷な夫婦の離別に及ばなかったならなおこの逆上はしなかったであろう。
姑と嫁について (新字新仮名) / 与謝野晶子(著)
抜身の槍の穂先が、尖々せんせんと月光にかがやいている。刀の白刃が、さやの中で戞々かつかつと走っている。五人十本の腕が、むずむずと手ぐすねで鳴っている。
なんでもだい奉直戰爭ほうちよくせんさうときなどは自分じぶんはう旗色はたいろがよかつたせゐもあつただらうが、戰線せんせんのことは部下任ぶかまかせにしていて
麻雀を語る (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
実際無類絶好の奇宝であり、そして一見した者と一見もせぬ者とに論なく、衆口嘖〻しゅうこうさくさくとしていい伝え聞伝えて羨涎せんせんを垂れるところのものであった。
骨董 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
蒼黒あおぐろくむくんだ、溺死者できししゃのような相貌になり、手足は極端にまで痩せ、まぶた指趾ししは絶えず顫戦せんせんし、唇からはよだれが垂れた。
山彦乙女 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)